他の女性を助けない女性には、地獄が待ち受ける…?

 筆者は先日、マデレーン・オルブライト米元国務長官の講演を聴いた。多くの至言のうち心に残った一つはこれだ。

 「女性同士はもっと助け合わなくてはなりません。他の女性を助けない女性たちには、地獄の中でも特にひどい場所が用意されています」

 森喜朗氏の女性蔑視発言以来、日本で話題になったことの一つが、成功し「名誉男性」と化した女性たちの存在だ。

 自分が大変な思いをして克服したことを、後輩に強いてはいないか。他の女性たちに対する共感力を失ってはいないか。「私は産休後すぐ職場に戻った」「飲み会を断ったことはない」「あなたもできるよね」とプレッシャーをかけて、悪い意味でのロールモデル(「ああはなりたくない」と思われるような人)になってはいないか。家に帰れば妻が作ったご飯が待っているような男性たちが考えたシステム、彼らの働き方を自明のものとしてはいないか。

 リーダーの立場にある女性は、自分と同じ苦労を後輩たちに求めるのではなく、その立場を利用して、より続けやすい働き方、職場のあり方を提示し、既存のシステムを改善していく責任があるのではないだろうか。

 最近米国では、ゴールドマン・サックスの若手社員たちが、「週95時間の労働は非人間的である」という苦情を経営陣に提出して話題になった。生命を削るような働き方は、「サステナビリティ」が重要な企業価値の一つとみなされる今日の時代に合っているだろうか。そんなものを、若い世代は求めてはいないだろう。