スウェーデンの大学院で公衆衛生を学びながら、性を取り巻く環境の改善に向けて情報発信するなどジェンダー平等に取り組む福田和子さん。森喜朗氏の女性蔑視発言を巡る署名活動では、発起人の一人として16万筆近くの賛同を集めた。「ジェンダーギャップ指数2021」で156カ国中120位だった日本への思いとジェンダー平等への課題について熱く語ってくれた。

社会のあらゆるところで「日本のジェンダーギャップは大きい」

 スウェーデンには大学時代に留学し、帰国後2019年から再びスウェーデンの大学院で、ジェンダー平等にもつながる「リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)」についての学びを深めています。

 ジェンダーギャップ指数120位の国から5位の国に来て感じるのは、社会のありとあらゆるところで「日本のジェンダーギャップは大きい」ということ。政策立案や意思決定の場に女性は少なく、低賃金や不安定な雇用傾向、育児をしながら仕事を続ける難しさなど、さまざまな生きづらさがあります。

福田和子(ふくだ・かずこ)さん
国際基督教大学入学後、日本の性産業の歴史や公共政策を学ぶ。その後、スウェーデンに1年間留学。日本における、女性の人生の選択肢を狭める限られた避妊法や、性教育の不足を痛感し、2018年5月、「#なんでないのプロジェクト」をスタート。2019年8月から再びスウェーデンに留学し、ヨーテボリ大学大学院で公衆衛生を学ぶ。世界性の健康学会(WAS)Youth Initiative Committee委員/国際NGO JOICFP I LADY.ACTIVIST/性の健康医学財団 機関誌「性の健康」編集委員。2020年、国際的にジェンダー平等を目指すSheDecidesムーブメント、Women Deliverから世界のSRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ)ヤングリーダーに選出される。

 ジェンダーギャップ指数上位を占めている北欧の国でも、ジェンダーに関する問題は起こることがあります。しかし、問題が起きたときの社会や世論の反応がすさまじい。絶対に許しませんし、大規模なデモが起こることも珍しくなく、毅然と問題に対応する意識が浸透しています。

ジェンダーギャップ指数5位のスウェーデンで「性と生殖に関する健康と権利」について学びながら、日本のジェンダーギャップ解消に向けて取り組んでいる
ジェンダーギャップ指数5位のスウェーデンで「性と生殖に関する健康と権利」について学びながら、日本のジェンダーギャップ解消に向けて取り組んでいる

 日本で性差別に対して表立って声を上げると、「意識高いね」「そういう人なんだ」などと言われがちでした。しかし、森氏発言に対する署名活動(関連記事:森氏発言受けクラブハウスから署名活動 14万人がNo)では多くの人が性差別発言に対する声を上げ、日本の意識も徐々に変わってきていることを感じます。

 一方、スウェーデンでは、男性も含めて、ジェンダー平等を訴えたりフェミニストでいたりすることはごく当たり前。スウェーデン政府は、自ら「フェミニスト政府」と名乗っていることに象徴されるように、社会全体が性差別に対してシビアです。「フェミニストじゃない」と言うと、「あなたは性差別主義者なの?」と言われるくらいの感覚です。

 ジェンダー平等は、ある日突然達成されるものでもなければ、ある程度達成すれば終わるものでもありません。日本のジェンダーギャップ指数が低迷しているのは、日本のジェンダー不平等が悪化しているからというより、他国の取り組みから取り残されているという印象を受けます。100年前を見ると、スウェーデンは1921年にようやく女性の普通選挙権が認められた国。当時は避妊具の販売や中絶は法律で禁じられていて、同性婚が認められたのは2009年のことでした。大きな変化について現地で話を聞くと、誰もが「声を上げてきた人がいたから」と口をそろえます。なにもアクティビスト(活動家)になる必要はなく、問題に直面した本人だけが一人で対峙せずに、周りが「これはどうなの?」と声を投げかけるのが当たり前の社会構造なのです。誰もが性別にかかわらず自分らしくいられる社会に近づくために必要なことだと思います。