最高裁判事の女性比率はたった3.8%

 では、法曹界のジェンダーギャップについてはどうか。2020年のARIAの記事(「なぜその判決?」に潜む法曹界のジェンダーギャップ)でもお話ししましたが、残念ながら変化はありません。ただ、政府が一歩踏み込んだのは、20年12月に閣議決定した「第5次男女共同参画基本計画」で、初めて「最高裁判事も含む裁判官全体に占める女性の割合を高めるよう裁判所等の関係方面に要請する」と盛り込んだことです。

 歴代の最高裁判事は、合計で183人。そのうち女性はたったの7人、約3.8%です。裁判所に持ち込まれる多くの事件が、実はジェンダーと関係していますが、私も含めて、ジェンダー・ステレオタイプ(固定化された性別役割観)から完全に自由な人はいません。だからこそ、裁く人、弁護する人、訴追する人に多様なバックグラウンドを持った人材が交ざっていることが大事なのです。これは市民の司法に対する信頼にもかかわる問題です。

内閣府男女共同参画局の調べによれば、司法分野における女性の割合は、裁判官が21.3%(2016年)、検察官(検事)が23.5%、弁護士が18.4%(以上2017年)
内閣府男女共同参画局の調べによれば、司法分野における女性の割合は、裁判官が21.3%(2016年)、検察官(検事)が23.5%、弁護士が18.4%(以上2017年)

市民運動のリーダーを育てるのが重要

 IT化が進み、情報発信の手段を個人が手に入れる時代を迎えたのは、とてもいい変化だと思っています。2019年4月に北原みのりさんなどの呼びかけで始まったフラワーデモなど、社会のムーブメントを個人から起こしやすくなりましたから。これからますます大事になってくるのは、誰がリーダーシップを取るか、誰が運動の中心になっていくのかです。

 2018年以降、G7(主要国首脳会議)にもジェンダー平等諮問委員会ができ、私は2年間委員を務めました。21年は英国が議長国ですが、カナダをはじめとするジェンダー平等の先進国政府は「女性運動を財政的に支援する」ことを政策に掲げています。女性のリーダーシップを涵養(かんよう)すること、政府と対話できる運動家を育て、支援することの大切さに政治が気付いているのです。少子高齢化が進む日本において、これからの女性運動、市民運動を担っていく人材育成を行うことが大事になってくるでしょう。

取材・文/市川礼子(日経クロスウーマンARIA) 写真/PIXTA