将来、自分が死ぬときは、親世代とは異なるリスクが発生するかもしれません。特に、助けてくれる子もいない独身者の老後や死には、今までとは違う備えが必要になります。

孤独死の予防、保証人…独身の老後は課題山積み

 「自分の葬儀はどうなる?」と考えたことはあるだろうか。実は独身者の老後には、葬儀どころではない難題が山積みだ。

 そもそも、死に気づいてもらえるか。孤独死からの発見が遅れたら、大家らに多大な迷惑をかけて人生を終えることになる。死後に見られたくない「スマホやパソコンの中身」はないだろうか。一緒に暮らす愛犬の将来はどうなるか。親世代なら親族や誰かがなんとかしてくれていたことも、自分のときは頼る相手がいない可能性がある。

 そんな時代を反映した「生前契約」の利用が増えつつある。自分が死んだら遺体を引き取って火葬・納骨し、家や各種契約などの整理をしてくれる「家族代わり」の役目を、企業やNPOに依頼する契約のことだ。

 死後に行う「死後事務」の範囲を面談の上決め、それに必要な金額を最初に預け、公正証書で契約を締結。死亡時の連絡先を記載したカードなどを携帯することで、急死の際はそこに連絡がいく仕組みだ。

 生前契約の老舗ともいえるNPO「りすシステム」では、「生前の家族代わり」も頼める。依頼ごとの費用は必要だが、病院への付き添いや、各種手続きを代行してくれる。また、保証人を引き受ける役割も重要。

 「賃貸住宅の契約も、シルバー人材センターなどを通じて職に就く場合も、万一のときに身柄を引き取る保証人が求められる場面は多い。特に住宅はここ10年で厳しくなった印象があります」(りすシステム)。

 何かにつけ子に頼ることに気が引ける人も多い。「親世代でも、子が先に亡くなるケースもあります」(同)。これからの時代に年を重ねるためには検討すべき選択肢かもしれない。