今、ウクライナでは大勢の人々が困難な状況に置かれています。国連女性機関(UN Women)は、「ウクライナにおける軍事攻撃の激化を深刻に懸念し、特にウクライナの女性と少女の生命と生活に及ぼす影響に国際社会の注意を喚起します」との声明を発表しました。2022年の「女性デー」について、モスクワ在住のライター・大野あきこさんがリポートします。
「ここはひどい状況、とても怖い」
3月8日の「国際女性デー」は、ロシア、ウクライナ、アルメニアなど、旧ソビエト連邦(ソ連)の国々において、特別な意味を持つ。旧ソ連の諸国において、3月8日は祝日であり、女性に日ごろの感謝を伝える日だ。女性は家族や恋人だけでなく、男性の友人や、職場の同僚からも花やプレゼントを受け取る。
今年は、残念ながら、ウクライナでは戦時下での祝日になってしまった。多くの女性や子どもたちが国外への退避や、不自由な生活を余儀なくされ、命の危険にさらされている。ウクライナの人々は今年、どんな気持ちでこの日を迎えたのだろうと思うと心が痛む。
キエフに住む、友人の知り合いのウクライナ人女性に聞いてみたところ、「ここの状況はひどい。ロシアがウクライナの街を破壊しているの。とても怖い」と、緊迫感が伝わってきた。また、問題になっている、東部のドネツク・ルガンスク地方に住む友人の知り合いは、「今回の出来事は、始まりでなく、どんな形であれこの地方をめぐる長い争いの終わりだと思う」と話していた。それを聞くと、ウクライナとロシアの関係が、第三者が簡単に踏み込むことができない、深く複雑なものであることを感じる。
ロシアにはウクライナに親戚がいる人も多く、ウクライナに残っている友人や親戚の身を案じている。日本ではロシア料理店への嫌がらせがあると聞くが、モスクワでも同じような状況が始まっている。