多様性確保が経営課題となってきている今、人材育成の重要性が増しています。そんな中、三井住友海上火災保険は人材育成に「社外での経験」を活用。早ければ2030年度にも出向や副業、社外の関係者を交えた社内研修などを課長に昇進する社員に求め、多様な価値観を持つ人材の育成を強化するといいます。同社の人事部人事チーム長・越智貴之さんに話を聞きました。
日経xwoman編集部(以下、――) 「社外での経験」を社員が課長に昇進する際に重視するそうですね。具体的にどのような経験ですか。
越智貴之さん(以下、越智) 出向、副業に加え、社外の関係者を交えた異業種交流型研修です。出向はこれまでも主要な取引先や官公庁を対象に行ってきました。副業については2021年度から解禁しています。異業種交流型研修は他社の社員を交えた研修で、2~3カ月程度を想定しています。
具体的に決定している数値目標は、25年度末までに、管理職(課長・部長)に占める社外カルチャー経験者比率(中途採用者+出向者などの経験者比率)を30%以上にするというものです。21年4月時点の比率は約20%でした。中期的な目標としては、早ければ30年度までに課長に昇進するすべての社員に社外での経験を求めていくことを目指します。
社内の仲間同士で議論したり、切磋琢磨(せっさたくま)したりすることは重要です。でも、それだけでは、価値観が多様化し、変化の速い今の世の中で求められる人材はなかなか育たない。課長職というリーダー層が外での経験を積むことで、社内からだけでは出てこなかったようなアイデアが生まれ、それがビジネスに結びつくことを期待しています。
管理職に絞っているのには理由があります。管理職は意思決定層です。環境変化に対応できる強い組織となるためには、特に意思決定層に多様化が課題と考えているのです。
―― 30年度までというとあと8年近くあります。少し時間がかかる印象があるのですが、どうしてでしょうか?