「本当に育休が取れないのか」を明確に

古田 「地道な声掛け」に尽きます。岐阜県では以前から配偶者が出産することとなった男性職員に対して、所属を通じて「育児参加プラン」という書類の提出をお願いしていました。これは、育休を取得するかどうかや、配偶者の出産に合わせた休暇をどのように取得するのかなどを記述してもらうものです。

 でも、男性の育児休業取得率がなかなか上昇しませんでした。対策として、15年度からは、「育児休業を取得しない」と回答した男性職員に対し、「なぜ取得しないのか」の理由の記述を義務付けました。

 加えて、人事課から「取得しない」と記述した男性の上司に聞き取りも行うこととしました。要は、「育児参加プラン」の作成をきっかけに「本当に育休は取得できないのか」を明確にしてもらい、それを人事課が、個々に確認するようにした、ということです。

 「年度末で多忙なため取得できない」と男性職員が回答したとします。そのような職員がいたら、私たちはその職員の上司に電話をするのです。「育休は出産後すぐに取らなくても大丈夫ですよ。例えば、年度が変わってからしばらくして、業務が落ち着く時期になら、本人も取得しやすくなるし、他の職員への負担も少し軽減されるのではないですか」というような提案を伝えます。

育休取得者を増やすポイント
・地道な声掛け
・取得しない人に理由の記述を義務付け
・取得しない人の上司にヒアリング

―― 当初は人事課から電話がかかってきたら、上司は驚いたのではないですか?

古田 最初は「何事?」と驚く人が多かったですね(笑)。制度自体は事前に全体に周知していました。ただ、本当に人事課がわざわざ連絡をしてきて、「本当にその職員は育休を取れないのか」と確認してくることに驚いたようです。

 ただ、丁寧に説明すると、たいていは「少し工夫すれば育休の取得は可能だな」と理解してくれます。そして、上司から部下の男性職員に「育休を取ってみたらどうか?」と声掛けをし、育休を取得するという流れです。上司に言い出しづらかった人も、話をするきっかけになっているようです。つまり、私たちから男性職員に直接声を掛けるのではなく、「職場の上司が理解して、部下に声を掛けること」がポイントです。

―― 6日以上取得する職員の増加も目立ちます。

古田 取得者が増加することで好循環ができている印象です。実際に育休を取得した男性にヒアリングしたところ、「同期も何人か取得しているし、職場も歓迎してくれました」という回答が多くありました。このほか、「近しい先輩や後輩が取得したため」という職員もいます。

 それぞれ、自分自身が育児にしっかり関わりたいという意識を持っている中で、同期や先輩、後輩という「本音で語れる」職場の同僚から育休の経験談を聞くことは、育休取得を後押ししますね。自分にとって不利にならないことや、職場が取得促進を本気で進めていることが分かってくると、「せっかくだから長めに取ろう」と考える男性職員が増えているのだと思います。

―― 長めの取得が増えると、その間の「穴」をどう埋めるのかも課題になりそうです。