「イクボス」であることをマネジャー評価のプラス要素に
島谷 育休取得をためらう男性職員の理由には「業務に支障があるのではないか」「同僚の負担にならないか不安だ」などがあります。それに対応するために、まず首長部局等は、マネジャーたちの意識を改革することから始めました。
15年度に県知事が経済団体などと共同で「イクボスとっとり共同宣言」を出しました。「イクボス」は、部下の仕事だけでなく、プライベートにも配慮するマネジャーです。職員の課長クラス以上に、イクボスとしての意識を持ってもらい、マネジメント術を身につけてもらうことを狙いました。15年度以降には、外部からイクボス育成のための講師を招き、研修を開きました。
マネジャーの評価で「イクボスであるかどうか」も一つのポジティブな要素にすることを、職員に対して明確にしたことも大きいです。子どもがいる職員や男性職員が少ないマネジャーもいますので、男性の部下が育休を取得したかどうかが、即プラス評価になるわけではありません。ただ「イクボスであることが評価される際のポジティブな要素」という点を明確にしました。
こうした取り組みを続けてきたことにより、男性職員の育児休業に理解のあるマネジャーが増えました。マネジャー側から積極的に、育休の対象となる男性部下に対して「取得してみたら?」と働きかけるようになってきています。
さらに、20年度からは育休の対象となる男性職員とマネジャーは面談し、マネジャーは職員に「1カ月以上の育休取得を勧める」ことを義務としました。これにより、今後、男性職員の育休取得がより進むと考えています。
・マネジャーを評価する際に「イクボス」度をプラスの評価にすることを明確に
・20年度以降、マネジャーは対象男性職員と面談し、1カ月以上の育休取得を勧めることを義務に
・育休中の給与への影響試算シートを誰でもアクセスできるデータベースに随時掲載
また、育休中の収入減を不安に思う職員への対応もしました。具体的には育休中の給与への影響試算シートを作成。育休予定期間と現在の収入を入力するだけで、育休中の収入の目安が分かるようにしています。
一般のウェブサイトにも類似のシートがあります。このシートは鳥取県の職員専用なので、よりリアルな試算ができます。全職員がアクセスできる県庁内のデータベースにアップしていますので、育休中の収入について、人事部や上司にわざわざ問い合わせずに済み、気軽に試算できるようになっています。
―― 警察部門の男性育休取得率は19年度に56.5%です。警察で2位の青森県の14.9%を大きく上回ります。