2018年、Twitterでのつぶやきから始まった活動

―― ビジネス界、法曹界、いずれの署名活動でも、市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」が関わっています。どのような団体なのでしょうか。

井田 2018年1月、サイボウズの青野社長が選択的夫婦別姓訴訟を起こして注目を集めました。それを見て、自分も何か行動しようと決め、同年に立ち上げました。私自身が再婚で改姓したときに感じた疑問を、Twitterで発信することから始めました。

井田奈穂さん。早稲田大学卒業後、記者、ライターとして活動。大手英会話教材のウェブ担当を経て、現在IT企業で働く傍ら、選択的夫婦別姓・全国陳情アクションの事務局長を務める(撮影協力:WeWork 神谷町トラストタワー)
井田奈穂さん。早稲田大学卒業後、記者、ライターとして活動。大手英会話教材のウェブ担当を経て、現在IT企業で働く傍ら、選択的夫婦別姓・全国陳情アクションの事務局長を務める(撮影協力:WeWork 神谷町トラストタワー)

―― Twitterのつぶやきから、どのように広がっていったのでしょうか。

井田 もともと日本では、選択的夫婦別姓をめぐる運動の歴史が長く、約40年続いています。でも私はそうした市民活動の経験がなかったので、すべて手探りでした。Twitterで、どうしたらいいのか意見を募ったところ、候補は2つ挙がりました。1つは青野社長のように訴訟を起こすこと。もう1つは議員への陳情です。

 そこで、私の地元、東京都の政治家で自民党・松本文明衆院議員を訪ねて、陳情の方法を教えてもらったのです。政治家は有権者の話を聞くのが仕事だからと、すぐ面会してもらえました。その後、後に自民党の「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」を立ち上げる議員さんたち、さらに野田聖子衆院議員にも会うことができ、どうやったら法改正の合意に向かえるか、アドバイスをもらいました。

ビジネスリーダーを巻き込み、約3カ月で有志の会を発足

―― その後、どのように活動を広げていったのですか。

井田 多くの自民党議員の方に、企業や経済団体に働きかけることを勧められました。自民党はビジネスリーダーからの声は、無視できないとのことで。

 そしてアプローチしたのが、サイボウズの青野社長や、夫婦別姓について積極的に発信していたドワンゴの夏野社長でした。夏野社長にはTwitterで連絡を取り、趣旨を説明して賛同してもらいました。そこから賛同者の輪が広がっていき、「選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会」が、この4月に発足したのです。

 実は法改正は、ビジネスシーンでこそ必要とされています。海外渡航、登記、投資、保険、納税、各種資格、特許、学会での論文発表などで、法的根拠のない旧姓の通称使用ができない場面が多い。2つ以上の氏名を使い分けることにより、混乱が生じているのです(詳細は後述)。

 一方で、企業などに所属する弁護士で構成する日本組織内弁護士協会(JILA)の榊原美紀理事長に相談し、勉強会などを通して、企業の経営者の方々と人脈をつくるバックアップをしてもらいました。