Zoom、クラウドファンディング…ネットをフル活用

―― 選択的夫婦別姓・全国陳情アクションのメンバーは、どうやって集めたのですか。

井田 一緒に活動する仲間は、2018年11月に公式ウェブサイトを作り、そこで募集しました。約440人の申し込みがあり、Zoomを使ってオンラインミーティングをして、その中から260人にコアメンバーになってもらいました。後で「こんなはずでは……」とならないよう、あらかじめ考え方や活動について話し合う時間を取ったのです。

 コアメンバーは女性が7割、男性が3割。年齢は18歳から80代まで幅広くいます。一番多いのは、改姓をしたことで不利益を被ったり、傷ついたりした経験のある女性たちです。男性では、自分のパートナーと対等な立場で結婚がしたいという人や、娘や孫のために熱心に活動する70代以上の男性もいます。

―― 井田さんは本業の傍ら、活動をしていますが、活動資金はどうしているのでしょうか。

井田 クラウドファンディングで支援を募りました。人も資金もインターネットを最大限活用して集めています。誰でも当事者とつながり、声を上げることができる……これは今だからこそできる方法で、ネットのない時代なら大変な苦労だったと思います。

2020年2月に「『自分のまま』でも名字を変えても結婚できる選択的夫婦別姓を一緒に実現しませんか?」と支援を呼びかけたクラウドファンディングでは、約2カ月で1124人から730万円超の支援金が集まった
2020年2月に「『自分のまま』でも名字を変えても結婚できる選択的夫婦別姓を一緒に実現しませんか?」と支援を呼びかけたクラウドファンディングでは、約2カ月で1124人から730万円超の支援金が集まった
改姓によって負担などが生じる理由
【1】改姓には煩雑な事務手続き、出費を強いられる。

【2】個人的な信用やネットワークの一部が引き継がれず、不利益を被る場合がある。96%は女性が改姓しており、男女間で平等な状態にない。

【3】戸籍姓の使用が必須となる研究者や特許保持者、人命に関わる医療職、公文書を扱う法律職などで自己同一性の証明に多大な手間が必要になる。

【4】旧姓の通称使用を認める企業は内閣府2016年調べで半数以下。認める範囲も限定されており、各種免許証や健康保険証、登記簿、一部国家資格などでは旧姓の使用が認められていない。

【5】法的根拠のない旧姓と、戸籍姓との煩雑な使い分け、いわゆる二重氏使いは本人のみならず、人事・法務・経理・総務などにおける手間とコストの増大を招いている。

【6】改姓した側だけが、仕事先など必要のない範囲にまで婚姻状態を知らしめることになる旧姓の通称使用および旧姓併記は、プライバシーの侵害となる。

【7】事実婚では正式な配偶者とみなされず、共同名義の不動産が持てない、パートナーの入院・手術・死亡時の手続きができない、生命保険の受取人になれないといった不利益が生じる可能性がある。さらに子どもの共同親権がない、財産を相続できない、配偶者控除や相続税非課税枠、配偶者ビザの対象外であるなど、法律婚に比べて圧倒的に保護が薄い、もしくは除外されている。

【8】子連れ再婚では、同氏同戸籍の原則により、本人のみならず家族まで望まない改姓による苦痛を強いられることが多い。

出典:「選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会」事務局の資料から一部を抜粋

取材・文/阿部祐子