2021年の年明けから、「選択的夫婦別姓」をめぐる動きが活発化しています。きっかけは、2020年12月に閣議決定された「第5次男女共同参画基本計画」。2021年度以降、5年間のジェンダー平等に関する目標や施策をまとめた同計画から「選択的夫婦別姓」の記述が削除され、物議を醸しました。ビジネス界、法曹界から法制化を求める声が上がり、署名活動の輪が広がっています。一連の活動を支援するキーパーソンで「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」事務局長の井田奈穂さんに、活動の内容と賛同者の輪を広げる巻き込み術を聞きました。

―― 2021年4月1日、サイボウズ社長の青野慶久さん、ドワンゴ社長の夏野剛さんを共同代表とする「選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会」が発足しました。どのような組織なのでしょうか。

井田奈穂さん(以下、敬称略) 選択的夫婦別姓(氏)制度の法制化に賛同するビジネスリーダーによる、有志の会です。ディー・エヌ・エーの南場智子会長、日本オラクルの藤森義明会長、フューチャーの金丸恭文会長ら19人のビジネスリーダーが共同呼びかけ人に名を連ねています。4月25日までに1000人以上のビジネスリーダーの賛同者を集めて、菅義偉首相への手交を目指しています。

 こうした動きは、法曹界でもあります。4月9日、丸川珠代男女共同参画担当相に、慶応大学の犬伏由子名誉教授から「法学者・法曹による選択的夫婦別氏制度に関する共同声明」を手渡しました。こちらでは、選択的夫婦別姓の早期実現を求め、法律の専門家1094人の署名を集めました。

―― なぜ今、このような動きが活発化しているのですか。

井田 選択的夫婦別姓制度は、婚姻後に夫婦がそれぞれの氏を称することを認める制度です。改姓を希望しない人はもともとの自分の姓を名乗ることができ、希望する人は今までと同じように改姓できます。

 今から25年前、1996年に法制審議会答申「民法の一部を改正する法律案要綱」に制度の導入が明記されたにもかかわらず、いまだに法改正に至っていません。一方で、新聞社などの世論調査で約7割以上が法改正を支持しています。日本経済新聞が今年3月29日に発表した世論調査では、結婚世代にあたる18~39歳で賛成が84%を占めました。

 足踏み状態が続く中で、昨年末に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画で「選択的夫婦別姓」の記述が削除され、多くの人たちが危機感を持ったというのが実情ではないでしょうか。

慶応大学の犬伏由子名誉教授と早稲田大学の棚村政行教授は4月9日、丸川珠代大臣に「法学者・法曹による選択的夫婦別氏制度に関する共同声明」を手渡し、制度実現の重要性を説明した。写真は右から丸川大臣、犬伏名誉教授、棚村教授、井田さん
慶応大学の犬伏由子名誉教授と早稲田大学の棚村政行教授は4月9日、丸川珠代大臣に「法学者・法曹による選択的夫婦別氏制度に関する共同声明」を手渡し、制度実現の重要性を説明した。写真は右から丸川大臣、犬伏名誉教授、棚村教授、井田さん