男性の育児休業取得を促進する改正育児・介護休業法が6月3日、衆議院本会議で可決、成立しました。長年にわたってこの法改正に関わり続けてきたメンバーの一人が、NPOファザーリング・ジャパンの男性育休推進担当理事である塚越学さん。成立の瞬間は国会で見届けたそうです。改正法の目的や意義、今後の課題について寄稿してもらいました。

条件は整った。企業にとっても、誰もが活躍できる職場づくりのチャンス(写真はイメージ)
条件は整った。企業にとっても、誰もが活躍できる職場づくりのチャンス(写真はイメージ)

 私は父親支援NPOファザーリング・ジャパンで、男性育休推進事業リーダーとして2010年の育児・介護休業法(以下、育休法)改正から活動してきました。この10年間、度重なる改正のほとんどは「父親の育児参画」推進が目的でしたが、ことごとく空振りに終わりました。私たちの推進活動も、もともと関心の高い父親や職場には届いても、大部分の関心のない人たちには届かなかったのです。

 そこで、今回の改正活動の中で、実現にこだわったのは、企業への義務化です。

 そもそも、日本の法定の育休制度、特に男性が活用できる育休については、世界でも最高水準の制度であるとユニセフの調査では評価をされていますが、実際の取得率は7%程度です(令和元年)。

 さまざまな調査から、男性が育休を取得できない理由の多くは、「職場に迷惑をかけるから」「職場が取得できる空気じゃない」など職場に原因があることが分かっています

 つまり、これまでは、子どもが生まれた男性のうち、育休に関心の高い男性が、取得しづらい職場の空気をあえて読まずに、取得したい期間の1カ月前までに、否定的な職場に対して育休取得申請書を提出し、周りに嫌な顔をされながら初めて取れるというものでした。これでは、当事者にとってメリットがあるように育休関連の法律の中身をどれほど充実させても、関心の高い人でさえ、日本では男性が育休を取得できるほうがまれです。

 今回の改正では、子どもが生まれる男性社員が育休に関心があるかどうかを問わず、まず企業側から「育休が取れるよ、取得したらどう?」と聞かなければならなくなります。これがポイントです。

 ここで企業側から、「育休制度はあるけど、まさか取らないよね?」という言い方はNGです。「取得を控えさせるような形での周知および意向確認は認めない」(労政審発1251号)と厚生労働省の文書にはっきり明記されていますし、今後、当該指針にも具体的に明記されるでしょうから、企業は法律違反にならないようにしなければなりません。