Q. ワクチンはいつから、どれくらい効く?

―― まず基本的なおさらいとして、ワクチンの効果というのはどのように現れるのかを教えてください。

峰宗太郎さん(以下、峰) 日本人が打っている、または打つことになるワクチンは、ファイザー・ビオンテック社製とモデルナ社製(国内供給は武田薬品工業)のどちらか。この2つはmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンと呼ばれるタイプのワクチンで、現時点で世界で実用化されている中では最も効果が高いことが確認されています。どちらのワクチンも2回接種が原則で、ファイザーは3週間、モデルナは4週間の間隔で接種します。

医師(病理専門医)の峰宗太郎さんは米国在住のため、取材はリモートで実施
医師(病理専門医)の峰宗太郎さんは米国在住のため、取材はリモートで実施

 まず1回目を打ってから、1週間~10日くらいの間に、体内に「抗体」ができ始めます。この抗体が十分な量になれば感染を予防できると考えていいのですが、1回の接種ではまだ十分量に達しません。2回打つと、さらに抗体量が増え、2回接種の10日後から14日後くらいに、最も抗体が多い状態になります。

 これによりどのくらい効果があるかですが、まず1回目の接種から10日間程度は、効果はほぼゼロと考えてください。まだ抗体ができ始めていません。

 1回目から10日くらいたった時点で、新型コロナウイルスによる「発症」を50%くらい抑える効果が確認されています。ただし、感染自体を予防する効果は十分には確認できていません。重症化を抑える効果はある程度あると推測されますが、データが少ないため、何%くらいとは言えません。

 2回目接種後、7日後から10日後くらいで抗体がもう一段階増えます。こうなると、感染自体を90%以上、発症を95%以上、重症化予防を90%以上抑える効果が確認されています。

 とにかく重要なのは、2回接種から2週間程度たって初めて十分な効果を発揮するワクチンであるということ。そして、その状態になったとしても、予防効果は「100%ではない」という点です。ただし、2回接種したのに感染してしまう人はいますが、その場合も発症リスク、重症化リスクは低い。また、その人は比較的、他人に感染させるリスクが低いだろうということが分かっています。その人が排出するウイルスの量が40%程度まで減り、ウイルスを放出する期間も6日短縮されます。

―― 2回接種でも100%でないというのは、どういった場合に感染するのでしょうか?

 いくつか理由が考えられます。1つは、接種者の1%未満と思われますが、抗体ができにくい体質の人もいること。

 2つ目は、抗体が十分あっても、それを上回る大量のウイルスにさらされれば、抗体が負ける可能性もあるということです。あくまで、感染するかどうかは、ウイルスと抗体とのせめぎ合いで決まるので。感染者と長時間、マスクなしで会話を続けたり、いくつもの飲み会に参加を繰り返したりと、リスクの高い行動をとり続ければあり得ます。

 また、現在増えている変異ウイルスの場合、従来株と比べてやや免疫を回避する力が高くなります。特に1回接種での感染予防効果は、従来株と比べて大きく下がると言われています。

 英国はできるだけ多くの人が1回目の接種をすることを優先し、2回目の接種を遅らせる方針を採りましたが、結果として1回目の接種者が60%を超えているのに、「デルタ」と呼ばれる変異ウイルスの感染が増えています(※1)。2回接種すれば、デルタに対しても90%程度の高い感染予防効果が見込めることが分かっています。

※1 デルタはインドで最初に発見された変異ウイルスで、日本でもこれから感染が広がる可能性があるとみられている。なお英国は、mRNAワクチンよりやや効果の低い、アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンを打った人も多いので、その影響も考えられる。
Q. ワクチンはいつから、どれくらい効く?
A. 1回接種から10日は効果ゼロ。2回接種から2週間後は90%以上の予防効果が見込めます。