夫婦別姓を認めない規定は「合憲」――。夫婦別姓を求める人たちの間に失望を生んだ、最高裁判所大法廷の司法判断。これに何を思い、次はどんなアクションができるのか。「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」事務局長の井田奈穂さんと、日経xowmanの人気連載でもおなじみの紫乃ママに話を聞きました。
最高裁判所大法廷から出された「夫婦同姓を強制する規定は合憲」との司法判断。2015年の訴訟時と変わらない結論に落胆の声が上がる一方、「次につながる希望も感じる」との声も。(関連記事:「夫婦同姓の強制」にまたも「合憲」判断。今後の展開は)
井田奈穂さん これから状況は変えられると思う理由
「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」事務局長の井田奈穂さんに、「合憲」の司法判断を受けた今後の見通し、次のアクションについて聞きました。

編集部(以下、――) 判決をどう分析していますか。
井田奈穂さん(以下、井田) 最高裁が自身での判断を避けた判決ですね。望まない改姓で不利益が生じていることは認めるが、立法が決めることだと投げ返してしまった。本来、三権分立なのだから、司法は独立判断ができるはずなのに。前回の判決から6年間、立法は自民党内で議論がスタックしている、その帰結です。
そもそも、裁判所の中のジェンダーギャップが問題です。15人中、女性は2人。女性裁判官が声を上げても、数の論理で男性有利に働いてしまう。ガラスの天井みたいなものですね。女性が皆同じ考えを持つわけではないし、今回も2人の女性裁判官のうちの1人は「合憲」側ですが、女性が圧倒的少数でなければこうはなりませんよね。
今回の裁判官の中で唯一旧姓使用をしている宮崎裕子さんは、その少数意見の中で、旧姓使用者が「氏を変更せずに婚姻した者であれば決して置かれることのない、不合理で理不尽な状況に置かれ得る」ことや、通称使用などの「社会的なダブルネーム管理コスト」が大きいことなど、実体を伴った論を展開しています。こうした感覚を持つ人が司法の中に増えれば、違う結論になるはずです。