女性取締役が1人もいなくていいのか…

田中 投資家の立場からすると、例えば、女性向けの製品やサービスを提供している企業に女性取締役が1人もいないといった状況は、「説得力がない」とみなされてしまいます。女性取締役がいない企業について、株主総会でトップの選任に対して反対票を投じるなどの投資家も増えています。

 女性や外国籍など、異なる属性のメンバーが経営中枢にいることで、多様な価値観に基づく意思決定が可能になる、といったメリットはいまや常識になりつつあります。何十人も経営メンバーがいる企業で女性がたった1人というのではなく、企業ごとに経営層の人数が違う中で、ベースとして最低10%はクリアすることを現時点では大切にしています。もちろん中長期的には、さらに高い割合を目指すということです。

選定は「ダイバーシティ推進に積極的」という根拠に

―― 「なでしこ銘柄」に選定されること、またそれを目指すことで、企業にはどんなメリットがありますか?

田中 ダイバーシティ推進に積極的である、という根拠になる点ではないでしょうか。「なでしこ銘柄」は業種ごとに選定されますので、その業種の中で最も取り組みが進んでいる「証拠」として、名刺や企業のウェブサイトにロゴマークを入れてアピールしている企業も多いですね。

なでしこ銘柄のロゴ、経産省提供
なでしこ銘柄のロゴ、経産省提供

 選定基準でもある「女性活躍度調査」では自社のダイバーシティの進み具合を測ることができますが、回答のあったすべての企業に対してフィードバックを行っています。このフィードバックレポートによって他社と比較したときの弱い部分が明確になり、「意思決定層に対してダイバーシティ関連で提案する際に、説得力のある説明がしやすくなる」という声もあります。

 今後「なでしこ銘柄」選定を目指していきたいので相談に乗ってほしい、という連絡をもらうこともあります。そうした個別相談も受け付けています。

―― 「業種ごと」に選定されるという仕組みによって、取り組みは行っているのになかなか選定されない、という企業はあるのでしょうか?