地道な努力と工夫を重ねて壁を乗り越え、初めて「なでしこ銘柄」に選定された3社に、これまでの道のりを聞きました。いったいどんな取り組みが奏功したのか――。担当者が語ります。
前編 「なでしこ銘柄」って何? 今後の選定基準のポイントは
後編 制服廃止、クオータ制…女性活躍推進、3社の努力と工夫 ←今回はココ
鋳鉄管および産業機械メーカーの栗本鐵工所が、女性活躍推進に舵(かじ)を切ったのは2016年。当時の女性社員比率はわずか7%程度。女性への施策自体がほとんどなく、「なでしこ銘柄」の認知度もゼロに近い状態だったといいます。
人材開発部 女性活躍推進担当の周藤雅美さんは「女性社員比率の向上を目指して、採用時の応募者数に数値目標を設定することから始めました。また、在宅勤務制度や育児短時間勤務など、柔軟な働き方を実現する制度の策定・利用推進などの取り組みも進めていきました」と話します。ただ、いきなり壁にぶつかりました。
「男性が多い組織です。男性たちからすると『自分とは関係ない』といった雰囲気があり、『何のためにやっているの?』『組織に何かメリットがあるの?』といった声が多くありました。会社側も多くの経営課題を抱え、少数派である女性の活躍推進に注力するのが難しかったため、自分たちの手の届く範囲からボトムアップで進めていこうと考えました」(周藤さん)
まずは、総合職の女性社員を対象に、仕事と育児の両立支援のセミナーやロールモデルを招いた講演会を行うなど、女性社員のネットワークづくりに尽力。ところが、当事者である女性たちからの共感を得られず、「共通目標を作っていくことができなかった」といいます。いったいなぜうまくいかなかったのか。
「社内に女性活躍を後押しする風土がまだ育っていない中、『うちの会社で本当に実現できるの?』といった意見を持つ女性が多かったんです」
対策 全体に呼びかけるのではなく、一人ひとりの社員とじっくり話し必要性を説明した