岸田政権の発足により、日本経済はどのように変化するのでしょうか。また、今回の自民党総裁選では初めて複数の女性議員が立候補しましたが、今後、女性活躍社会は進むでしょうか。明治大学政治経済学部准教授の飯田泰之さんに聞きました。
具体的な政策論争がなされた有意義な総裁選だった
今回の自民党総裁選は、本当にやってよかったと思う内容だったのではないでしょうか。自民党にとっても、日本の政治にとっても、非常に意義深い論争がなされました。立候補者同士、他の候補へのリスペクトがあるなかでの論争だったことで、政策論争を深めることができていました。政治に関する論争でありがちなのは、互いに相手の政策論点をつぶし合うことに終始し、反論されないように具体論を語ることを避けるような展開です。今後の与野党間での議論においても、今回のような政策論争を望みたいですね。
特に、高市早苗氏と野田聖子氏の存在が総裁選を機能させる鍵となりました。自分たちが票数では劣勢であることが分かっていたためか、守りに入らず、とても具体的で、実のある論争に導くことになりました。高市氏は出馬後のかなり早い段階で、物価安定2%目標を達成するまでのプライマリーバランス(PB、基礎的財政収支)目標の凍結、公的雇用の拡大を公言しました(後述)。野田氏は、選択的夫婦別姓の導入についての議論を求めました。
高市氏と野田氏が具体策を提示したことで、岸田文雄氏と河野太郎氏も、「覚悟」や「改革」などといった抽象的で揚げ足を取られないワードばかりに頼れなくなりました。具体的な方向性を示さざるを得なくなったと言ってもよいかもしれません。岸田氏は数十兆円規模の財政支出や公的雇用の拡充、河野氏は持続可能な全世代型社会保障制度の構築などについて、具体的な政策を示しました。
そして誕生した岸田新政権の政策について、いくつかのポイントをお話しします。