ただ、今はコロナ下で飲み会も減っているものの、仕事の酒席や人付き合いはどうするのだろうか。
「今まではよほど体質的に問題がなければ、お酒の場では『飲むべし』という同調圧力がありました。ソバーキュリアスがきっかけになり、これからは酒席が飲む人も、飲まない人も楽しめる場に変わっていくといいですね」(梅森さん)
ちなみに著者のルビー・ウォリントンは「飲まずに人と付き合うポイント」として、
・アルコール分ゼロのドリンクを遠慮なく注文する
・デザートを注文して、じっくり味わう
・自分の意思で断酒できることに感謝し、他人を批判する権利はないことを肝に銘じる(飲んべえに説教しない)
・二日酔いのない朝を満喫する
といったスタイルを紹介している。
では、実際にソバーキュリアスはいるのだろうか?
出産を機に酒量が減り、現在では「あえて飲まなくなった」という営業職のJ・Mさん(50歳)。
「二日酔いから解放され、クリアな頭で物事を考えられるようになりました。今は小さなお店を持ちたいと思い、おいしいコーヒーの入れ方、プリンの試作に励んでいます。お酒をやめたら自分の夢に出合えました」と将来展望の変化を話す。
健康や環境への意識が高いといわれるZ世代でも飲まない人が増えているようだ。
まるさん(仮名、24歳、メーカー・マーケティング)は飲酒していたが、21年の夏から飲まなくなった。アメリカから帰国した友人が「お酒を飲まなくなったほうが健康だと気づいた」と話すのを聞き、「そんな考え方もあるのか」と驚いたという。コロナ下で飲み会が減ったのを機に、自分もお酒を飲むのをやめてみたところ、体調不良が改善した。
「最初から飲まないと決めているので、相手の様子をうかがいながらお酒を頼むことはしなくなりました。本当は人それぞれお酒の強さは違うのに、無理して相手のペースに合わせて飲むこともなくなり、飲み会の場でのストレスが減りました」
E・Iさん(24歳、サービスデザイン・アシスタントディレクター)は健康への意識が高まり、21年6月からお酒をやめた。
「本格的にヨガに取り組み、自分の体にはなるべく良いものを入れたいと意識するようになったんです。以前はコンビニで食べ物を買っていましたが、今ではベジタリアンになり、オーガニックの野菜を選ぶように。お酒は睡眠の質に影響するので飲まなくなり、お酒に頼らない人間関係、友人関係が構築できるようになりました。毎朝5時に起き、朝時間を過ごすようになったので、夜遅くまでお酒を飲むのは自分のライフスタイルに合わなくなりました」