女性は数字が苦手。男性は力仕事が得意。このような性差に基づくバイアスを持っていませんか。アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)は、女性活躍推進を阻む壁や職場のハラスメントリスクになるとの認識が広がり、企業の社内研修でも取り上げられる注目のテーマです。アンコンシャス・バイアスについて知り、乗り越えるための記事をまとめました。
「女性は数字が苦手」に根拠はない
男性の脳と女性の脳には構造的な違いがあり、考え方や得意なことも異なる――。こうした「男性脳」「女性脳」に基づく主張に対して、「科学的根拠に乏しく、性別役割分担を助長する恐れがある」と警鐘を鳴らすのは、東京大学大学院准教授の四本裕子さんです。四本さんは脳の構造や機能を測定する機械であるMRIを用いてミリ単位で脳をスキャンし、知覚や時間感覚にまつわる脳の働きを研究しています。(2021年12月8日掲載)
IT分野にも存在するジェンダーギャップと次世代の教育でできることについて、ソニー・グローバルエデュケーション取締役会長の礒津政明さんに話を聞きました。礒津さんは、IT分野に女性が少ない理由として「女性は理系に向かないというアンコンシャス・バイアスがある」などを指摘します。「男女関係なくコンピューターサイエンスを身に付け、イノベーションを起こす社会になってほしい。それによって、IT業界のジェンダーギャップはなくなっていくでしょう」(2022年7月20日掲載)
「普通は~だ」「大抵~だ」「こうあるべきだ」に潜む偏見
職場のハラスメントを生む要因の一つにアンコンシャス・バイアスがあります。良かれと思ってやったことが裏目に出たり、意図せず相手を傷つける発言をしてしまったり。それはアンコンシャス・バイアスによって、お互いの認識や解釈にズレが生まれているからかもしれません。無意識の思い込みや偏ったモノの見方に気づくにはどうしたらいいのか。アンコンシャスバイアス研究所 理事の杉本美晴さんに聞きました。(2022年3月14日掲載)
同じような教育を受け、同じ世代を生きてきた中高年層の日本人男性が組織の幹部を占め、海外経験のある人、女性、マルチカルチャーを理解する役員比率は極端に少ない――。人事院総裁・川本裕子さんが「かつての強みが弱みに変化」してしまっている日本の組織の危機を語ります。(2022年7月7日掲載)
「無意識のうちに思い込んでいることが、知らない間に相手を傷つけたり、自分自身やチームの成長を妨げたり、職場の空気をギスギスさせることがあります」と、8万人以上にレクチャーしてきたアンコンシャスバイアス研究所の守屋智敬さんは話します。ときに自分の成長をも妨げる「無意識の思い込み」に気づき、どう乗り越えていけばいいのか。話を聞きました。(2020年7月7日掲載)
無意識にこんな発言していませんか?
「男性なのだから体力・気力が尽きるまで仕事をすべきだ」「家庭よりも職場を優先すべきだ」……こうした古い考え方がいまだに残る職場はあります。女性には、「君は下手な男よりよっぽど優秀だな!」「女性の中では評価が高いよ」などアンコンシャス・バイアスに基づく発言も。記事を読んで自分が「駄言」を言ったことがないか、何げなく言っていないか点検してみてはいかがでしょう。(上から、2021年7月1日、8月31日、11月16日掲載)
構成/日経xwoman編集部