子宮頸(けい)がんの予防につながる「HPVワクチン」の接種を国が積極的に推進する「積極勧奨」が8年ぶりに再開されました。この8年間、他の先進国では若年女性の多くがこのワクチンを接種し、子宮頸がんの罹患(りかん)率が大きく低下。これから追いつこうとする日本に生きる女性にとって、必要な知識が手に入る記事をまとめました。

 2021年11月12日。厚生労働省の専門家部会は、HPVワクチンの積極的な接種の呼びかけ(積極勧奨)を8年ぶりに再開することを全会一致で決定しました。

 HPVワクチンとは、若い女性に罹患者が多い「子宮頸がん」の予防につながるとされるワクチン。その高い予防効果を示唆するデータが多数存在しています。先進国の多くが若年女性を中心に接種を進める中、日本では13年に積極勧奨が中止され、それ以降に接種年齢を迎えた世代では極めて低い接種率にとどまっています。

 日本では今後、無料接種の対象世代の女性への接種の呼びかけが行われるだけでなく、積極勧奨が中止されていた8年間に接種機会を逃した世代の女性にも、無料接種の機会を提供する方向で準備が進むことになります。

HPVワクチンは、若い女性の子宮頸がん予防につながる(イラスト/PIXTA)
HPVワクチンは、若い女性の子宮頸がん予防につながる(イラスト/PIXTA)

 HPVワクチンについての情報発信を続けてきた産婦人科医の稲葉可奈子さんは、接種勧奨の再開は「ゴールではなくスタート」だといいます。

 「積極的勧奨再開により、自治体や学校などからこれまで以上に対象者に情報提供されることで、HPVワクチンについての情報格差はなくなるのではないかと期待します。つまり、これから検討する人が増えると思われ、そのときに大事なのは、引き続き丁寧な情報提供をすること。せっかくHPVワクチン定期接種の対象であるという情報は届いても、『やっぱりなんとなく不安』で止まっている人もいるでしょう。安全性や有効性についての正確な情報とともに伝えていくことが大切です。また、接種後に何か症状が出る人がいたら、ワクチンとの因果関係あるなしにかかわらず、その症状に寄り添って対応することが医師に求められます」(稲葉さん)

 日経xwomanでは、以前からHPVワクチンに関する記事を公開してきました。ここで改めて、正しい知識を得るための厳選記事を紹介します。

ゼロから理解。HPVワクチンって何?

 そもそもなぜ、子宮頸がんを予防するワクチンが「HPVワクチン」という名前? 接種対象者は誰? 素朴な疑問がすべて分かる記事です。下記の記事中、対象年齢が過ぎた方は有料接種になる旨の記載がありますが、今回の積極勧奨再開に伴い、今後は無料接種の機会が用意される見込みです。

稲葉可奈子「子宮頸がんはワクチンで予防できる」
20代から罹患率が高まる子宮頸がん HPVワクチンと検診の両輪で予防を


知っておきたい 子宮頸がんを予防するHPVワクチン
子どもに接種させる? 接種させない? 9価ワクチン定期接種化まで待つべき?

なぜ、日本では長らく積極勧奨が見送られた?

 高い効果が確認されているにもかかわらず、日本ではなぜ積極勧奨が中止のまま放置されていたか。それには日本独自の経緯があり、主因の一つとなったのはメディアの報道でした。キャスター、ジャーナリストの長野智子さんが、メディアの内部からの視点で振り返り、検証しています。

子宮頸がんワクチン 有効でも「積極的に勧めない」日本
長野智子のギモン 子宮頸がんを防ぐワクチンの有効性が示されても接種率が世界に飛び抜けて低い日本。何が問題なのか?

子宮頸がんってどんな病気?

 主要ながんの中では珍しく、若い女性の罹患リスクが高い子宮頸がん。それは一体どんな病気? どんな検診を受ければいい? ハイリスク世代が知っておくべき知識が分かる記事です。実は新型コロナウイルス禍によって、若い女性のがんが増えているという実情もあるのです。また、HPVワクチン以外に女性が打つべきワクチンについても紹介します。

コロナ下で「女性のがん」リスクが高まる理由
20代から発症する可能性のある女性特有のがん。診断されていないがん患者が増えている?


「婦人科に行ったことがない」私は何がヤバイのか?
最大のリスクは「子宮頸がん」 パフォーマンスを最大にするための婦人科活用術


【マンガ】子宮頸がんって誤解されてる? たむらようこ
「ステージⅢbのがんから12年、元気に働いてます」第3話


40代、50代が「今さら」接種すべきワクチンとは?
風疹、水痘… 次の世代が苦しまないために打つべき理由/子宮頸がんワクチンを娘に勧める?【ARIAアカデミー】

構成/日経xwoman編集部