多様な生き方を発信することで「当たり前」に近づく
SHELLY メディアや広告なども、もっと多様な見せ方をしていかないと、多様な生き方を受け入れる社会になっていかないと思います。例えば最近、女性の同性カップルが登場するCMが放映されたのは、うれしく感じました。最初はびっくりする人もいるかもしれないけれど、「へえ、女性カップルなんだ。でも、いるよね」と、後から感情が追いついてくると思うんです。こうした積み重ねで、これが普通なんだよ、これには何も問題がありませんよという認識ができてくる。
成毛 学校の制服なんかも最初から男性用女性用がそれぞれ決められている。学校教育の段階からこうしたことが起こっているのは、不幸なことだと思います。

SHELLY どこで男女を分けているのか、どういうところにシンボリズムがあるかをいったん見直し、洗い出してみることが大事なのではないでしょうか。制服にしても、男女とも同じものを着るか、複数の選択肢から性別に関係なく選べるようにするかなどして、もっとみんなが自分らしく生きられるように受け皿を広げていければいいですよね。
最近では、トイレの男女別をなくして、誰でも使える個室トイレをたくさん作っている国もあります。今まで当たり前とされてきたことを改めて考えてみることで、少しずつ変わっていくのかなと思います。
成毛 それを継続的にやっていかないとダメですよね。そこで、最初の質問に戻りますが、20年後の2040年に女性を巡る状況は良くなっていますかね?
SHELLY 良くなってほしいから頑張っているという感じでしょうか。自分の子どもが成人したときに、私が味わってきた不愉快な思いを絶対に味わわせたくない。その気持ちで熱く燃えています。
成毛 僕はこれまで50冊ぐらい本を書きましたが、ほとんど女性編集者が担当しています。だから、女性は仕事ができるということを実感している。もっと女性の力を活用しないと本当にもったいないと思います。
SHELLY これまでの仕事は、マッチョなところで評価される部分が多かったと思うんです。長時間働ける、上司が帰るまで絶対帰らない、とか。でも、その物差しを変えることで女性やそのほかマイノリティーの人たちが持つ価値に気づくことができる。会社としてもメリットが大きいし、いろんな社会問題の解決にもつながっていくんじゃないかと思います。

構成/西尾英子