法政大学の田中優子さんが3月、総長としての任期を終えた。「女性初の6大学総長」と呼ばれ、大学内や社会における女性活躍を推進してきた。退任を機に、これまでのキャリアとこれからの活動についてや、日本社会の課題、読者へのメッセージなどを聞いた。

法政大学元総長の田中優子さん
法政大学元総長の田中優子さん

日経xwoman編集部(以下、――) 学外や学内で、日本の女性の地位向上について、積極的に発言しています。就任時に比べ、日本における女性のポジションは変化しましたか。

田中優子さん(以下、田中) 私が総長に就任したのは2014年です。当時、多くのメディアでは「女性初の6大学学長」「女性初の法政大学総長」という紹介でした。

 「ああ。これが日本の社会だな」と淡々と思ったものです。というのも、私の専門は文学です。これまで、学者としてこの分野でキャリアを積み上げてきました。でも「江戸文学の専門家が総長に就任」という紹介はあまりありませんでした。

 私のことを、積み重ねて来たキャリアではなく、「女性初の~」という象徴でしか語らない。このことについては不快感というよりも、「まあ、日本の社会はそうだな」と受け止めました。やっぱり変えていかなきゃいけないな、と。そこで、当然ながら総長として、学内の改革から着手しました。

―― 学内で幹部職に就く、女性の比率が増えましたね。

田中 明確にしておきたいのですが、総長には人事権はありません。ですので、研究部門の学部長といった幹部職の人事に、私が直接介入することはありませんし、できません。学問の独立性を保つためにもこれは必要です。

 学部長が集まる学部長会議の議長は総長ですので、そういった場では必ず「女性の幹部職をもっと増やしたほうがいい」と何度も何度も繰り返しメッセージを出し続けました。学部長たちも理解を示してくれたのか、法政大学における21年度の学部長に占める女性比率は26%で過去最高となりました。14年度は6%でした。

―― 男性からのやっかみはありませんでしたか?