どこまでがOKで、どこからがNOか。意見の確認が最大の役目

―― インティマシー・コーディネーターになる方法は?

浅田 現在、世界には複数のインティマシー・コーディネーター団体があります。米国では、私が所属するIPA(Intimacy Professionals Association)や、IDC (Intimacy Directors and Coordinators)などです。IPAの日本人コーディネーターは、今は私ともう1人です。IPAでインティマシー・コーディネーターになるためには、必要なトレーニングを受けます。日本にはまだ正式な団体がないため、トレーニングは英語です。

 トレーニングの内容は、ジェンダーの知識、ハラスメントやトラウマについて、前貼りの使い方、性的シーンをリアルに見せるための振り付けや撮影アングルなど、多岐にわたります。

 私はオンラインで、毎日2〜5時間のトレーニングを受けました。最低でも50時間はかかったと思います。その後、テストに合格すると有資格者となり、IPA公認インティマシー・コーディネーターとして活動できます。(編集部注:21年6月現在、IPAは新規募集をしていません)

―― 現場ではどのような活動をするのでしょうか。

浅田 まず、撮影に入る前段階で、監督が想定している演出や露出度合いをヒアリングします。例えば、キスは舌を入れるか、胸をもむのは服の上からか下からか、などです。さらに、前貼りなどの保護の必要性を検討します。体には、触れられると心とは無関係に反応する場所があります。反応したことで恥ずかしくなったり、気まずくなったりして、俳優の演技や心理面に影響が出ないよう、接触に関しても細かく確認します。

 監督の意向を確認したら、それを俳優に伝えます。例えば、ヌードシーンについて。インティマシー・コーディネーターがいうヌードとは、水着を着たら隠れるはずの場所を隠さない状態を指します。俳優によって、全裸でも構わない人もいれば、胸だけがNGの人、上半身はOKという人など、さまざまです。どこまでがOKで、どこからがNOか。俳優の意思を聞きつつ、監督の意向と擦り合わせていきます。ここが、インティマシー・コーディネーターの最も必要とされる場面です。

「俳優の意思を聞きつつ、監督の意向と擦り合わせていきます。ここが、インティマシー・コーディネーターの最も必要とされる場面です」
「俳優の意思を聞きつつ、監督の意向と擦り合わせていきます。ここが、インティマシー・コーディネーターの最も必要とされる場面です」

 もしも監督が要求するセンシティブなシーンに対し、俳優が受け入れられない場合は、監督の求めるシーンに見える代替案を出すこともあります。あくまでも提案ですが、リアルに見せる他の動きではどうかと相談します。そういった動きや振り付けは、トレーニングによって得たものです。