柔軟な働き方が保証されていることは大きな助けに

―― 先ほど「バリアーはない」というお話がありましたが、子どもがいる女性にとってはどうでしょう。出産前までは男女同じように働くことができても、子どもが生まれると、女性は家事・育児を男性よりも担うことが多く、キャリア形成が遅れがちになるという現状があります。

セディア 一部には解決できている国もあると思いますが、この課題は日本だけではなく、多かれ少なかれ、他の国にもあると思います。子育てしながら働く女性を少しでも楽にしていく方法として、保育園が自宅や職場から近い、柔軟な働き方が保証されている、といった環境をつくることは、一つひとつは小さいけれど、大きな助けになる要素だと思います。

「保育園が自宅や職場から近い、柔軟な働き方が保証されている、などの環境は大きな助けになる」(セディアさん)
「保育園が自宅や職場から近い、柔軟な働き方が保証されている、などの環境は大きな助けになる」(セディアさん)

セディア また、男性の家事・育児分担については、「女性が大変だから、男性も家事・育児をすべきだ」というふうに、義務と捉えるのではなく、逆に「権利」として捉え直してみてはどうでしょう。

 父親も子どものために休む権利があるし、病気のわが子を迎えに行く権利もある。夫婦のどちらかが義務を負うというのではなく、親の立場にある自分には家族に貢献できる権利がある、だからそのために休暇を取るのも権利だと。そのように捉え直すことで、男女の役割分担の考え方が薄れていけば、キャリア形成の遅れの問題も解決に近づいていくと思います。

「自分の健康第一」だからこそ周囲を助けられる

―― 新型コロナウイルスの感染拡大で、ジェンダー不平等や、女性の経済的な弱さが浮き彫りになりました。この問題の解決に向けて、何が必要でしょうか。

セディア まず重要なのは、女性が自立を保つことです。女性は独立した存在でなければならず、厳しい状況でも、自力で生きていけるようにする必要があります。パンデミック(世界的大流行)の中であったとしても、働く道を奪われず、経済的に自立した状態を保たなければならない。(テレワークの活用など)職場や仕事に対するアクセスをしっかり確保していくような取り組みを、政府や企業がしなくてはなりません。

 コロナ禍で子どもの面倒を見ながら普段どおりに働くことは、非常に難しいでしょう。それについて私が思うのは、まず自分の健康に重きを置いてほしいということです。どうしても「子どもが先、家族が先」となってしまう女性が少なくないと思いますが、まず自分の健康をしっかりと確保してほしい。体調が悪いのに無理をして働いても、その状態を長く保つのは難しい。健康があってこそ、仕事もできるし、子どもや家族のために役立つこともできます。

 飛行機に乗る際に、緊急時についての説明のアナウンスで、子どもに酸素吸入マスクを着けさせる際には「まず自分が着用してから」という注意がありますよね。自分が酸素不足になってしまったら、子どもを助けられない。それと同じです。

 健康で過ごしているということは、家族のために役立つだけでなく会社にとって生産性向上につながります。ですから、まず自分の健康を守ってほしい。コロナのワクチン接種もそういう意味で非常に重要だと思っています。

構成/久保田智美(日経xwoman編集部) 文/阿部祐子 写真/稲垣純也