日本トップレベルの女子アマチュアレスリング選手から、現役引退後、女性アスリートの体形をきれいに見せるファッションブランド『KINGLILY』を2016年にスタートした、おかだゆりさん。Instagramや主宰するオンラインサロンでは、自身をモデルとして体を張って「アスリート体形でも細く見える」着やせ術を披露し、多くの支持を集めています。アスリートからデザイナーへという異例のキャリアをどのように形成してきたのでしょう。競技人生から今に至るまで、そしてこれからについて伺いました。

「太ももが入らない」鍛えた女性におしゃれは困難と知る
日経xwoman編集部(以下、――) 洋服を作ろうという思いはいつごろから抱いていたのでしょうか。
おかだゆりさん(以下、おかだ) 小学校から柔道を習っていて、毎日ジャージで登校するような生活でしたが、中学生でおしゃれに興味を持って、「ジーパンとかはいてみたいな」と思ったんです。
そこで母親のジーパンをはいてみたら太ももが入らなくて。体を鍛えているので太っているという意識は全くありませんでしたが、太ももが通るズボンはウエストが大き過ぎるし、肩幅に合わせてメンズのTシャツを着るとブカブカ。
鍛えた体でおしゃれするのは難しいと気づき、着やせを研究するようになりました。高校以降はレスリングに転向し、より筋肉質の体形になりました。大学生になってからはオリンピックを目指しながらも、いつかアスリート向けの洋服を作りたいという気持ちも抱いていましたね。
―― 現役時代から、現在のビジネスに対する青写真があったんですね。
おかだ ビジネスをやろうとまでは考えていませんでしたが、その頃から、「KINGLILY」という名前は思い描いていました。名前の「ゆり(=LILY)」で、アスリートだからQUEENよりKINGのほうが強さを意味するのにもしっくりくるなと。
―― 競技を引退するにあたって、迷いや葛藤などはありませんでしたか?
おかだ 私は「0か100か」タイプで、やめる決断はいつも急です。事前に次の準備をする性格じゃない。ここまで結果を出したら、とか、この大会に出たら、とかでもなくて、自分の心がやめたいと感じたことが引退を決意したきっかけです。
もちろん、オリンピックに行ける可能性もある状況だったから、家族や周囲には引き留められました。それでも、逃げたいからではなくて、やりたいことがあるからやめたいんだと、服飾の専門学校の資料を見せて説得することで納得してもらえましたし、応援もしてもらえました。