男性に対する「伝え方の講座」に通った経験も

―― 凛子は、自分の信念を貫くために、「わきまえたフリ」をして、クセ者の大物議員とも笑顔で渡り合うような、しなやかさも持ち合わせた存在として描かれています。

中谷 やはり男性社会の中では、ある程度「わきまえたフリ」をしないと、自分の意見が通らないという現実がありますよね。「わきまえない」という選択肢もありますが、そうすると居場所がなくなって、やりたいことをかなえられなくなってしまうという難しさがあります。

 かつては私も、男性に対して真っ向から主張しすぎてしまい、全く意見が通らなかったり、結局ケンカになって嫌われて終わったりするなど、失敗を繰り返してきました。「女性の立場ってこんなものなのかな」「男性を立てておいたほうがやっぱりいいのかな」と思って、男性に対する上手な伝え方のテクニックを学ぶ講座に通ったこともあるんですよ(笑)。

 そこでは、「○○さんにしかできないですよね」「こんなの初めてです~!」などと、ポジティブなフレーズでとにかく褒めて、相手の気分を良くした上で、「こうしていただけるとありがたいです」と自分の意見を述べ、最後にまた褒める、といったサンドイッチ方式の伝え方が有効だと教わりました。さらに、胸の前でかわいく両手を握る、などの身ぶり手ぶりも大切だと。

中谷美紀

―― それを実行してみてどうでしたか?

中谷 確かに意見が通りやすくなり、男性と仕事をするのがずいぶんラクになったと感じました。日本人の女性たちは、こうして男性を陰ながら動かしていたのかと、驚いたほどです。

 その一方で、夫がドイツ人であるため、現在暮らしているヨーロッパでは、こういう振る舞いはあまり必要ないんです。女性も当然の権利として意見を述べることができるので、むしろストレートに伝えるほうがいい。本来の私にはそのほうが合っていますが、日本ではやはり、まだもの言いに気をつけなければいけないと感じています。