米倉 というのも、普段の声と歌うときの声とはまた違って、お話しするときは緊張するからか喉が締まってしまい、喉をやられちゃうんです。次回やるときは、司会進行で(TBSアナウンサーの)安住紳一郎さんをお呼びするしかないなって思いました(笑)。
「SHOWTIME」では、主に曲目構成や衣装を担当しました。こんなふうにしたいとイメージしている写真を衣装デザインの方に持って行って、生地感やスタイルを打ち合わせして『CHICAGO』や宝塚の衣装も入れ込んでいきました。演出はしろたん(城田優)がしっかりしてくれたので、横やりを入れていましたね(笑)。ゲストの方の思いをくんだり、リハーサルで演出家の側から見て、ライティングを話し合ったりしました。
うれしかったのは、着替えているときだったか、「私、まだ高校生になる前だったんですけど、涼子さんの『CHICAGO』を見て、ダンサーになるって決めたんです!」と言いに来てくれた若手ダンサーさんがいたこと。「えっ!?」って驚きました。その直前、分からないステップを「これ1、2」「はいほい」みたいな感じで彼女にずっと教えてもらっていたところでした。「ゴメンネ、本当に踊れないんです~」と謝ったら、「いいんです、いいんです、一緒にいられるだけで。何でもやりますので!」なんて言ってもらえました。「やったー、弟子ができた!」って、すごくうれしかったけど、超恥ずかしかった(笑)。
やりたいことの核をしっかり持ちながら、少し後ろから全体を見渡したり、若いダンサーたちと朗らかにコミュニケーションを取ったりする。確かな実力を持ちながら、敷居を感じさせない親しみやすさが、ずっと変わらない米倉の持ち味の1つだ。
2つの舞台を実現できた意味
── この2つの舞台を実現できたことは、米倉さんにとって、とても重要なことだったのでは?
米倉 ええ、私にとっては。本当に全然儲(もう)からないのですが(笑)。「DISFRUTA」は、2月に自分のファンクラブ「よねさんち」を作った後、せっかく応援してくださっている方たちとお会いしたいという思いもあって企画しました。ところが、ファンクラブ先行予約では、当初半分も埋まらなかったですからね(苦笑)。
でも、「今、どうして独立したか、ということが証明できた」と自分の中で感じられたのが、この2つの舞台でした。
あるものの中に入っていくのではなくて、自分がやりたいこと、自分が思いついたことが、何もなかったところから1つの塊になっていくというのは、初めての経験だったように思います。女優を20年続けてきて、新しい出会いが欲しかったんだなと。それがやっと実現できたと思いました。