「普通でありたい」、そして「チャレンジはする」
何もないところから、手探りかつ手作りで、エンタテインメントを作り上げていく。その基盤となる事務所経営も、米倉が社長として切り盛りしている。そこで大切していることは何なのか。
── 「儲からない」と聞くと、経営者・米倉涼子の采配も改めて気になります。
米倉 経営者としてのお話は、自分としてはあまり面白くないんですが……。演じる仕事と会社の仕事は、全然切り替えできなくて、家に帰ってもイライラしてしまうんです。何か紙が散らかっているし(笑)、会計士さんのところから送られてくるものも全部チェックしなきゃいけないですし。
1つひとつ「社会勉強だな」と。今まで四角いマスの中のいる「いち米粒」だった自分が、四角いマス全体を担っているんだということを自覚して、今度はその中をちゃんと埋めていけるようにしなくてはいけない。
「普通でありたい」と思うんです。芸能界って今までは、何か肩に背負っているハイテンションなイメージだったと思うんですが、そうではなくて、真っすぐで、普通に公明正大なのがいいなと思っていて。ちゃんとしていたい。だから、(会社勤めをしている)弟に「会社ってどういうシステムなの?」などと聞いたりもしています。
ただ、その中で、違うところに飛んで行く、今までと違うエンタテインメントにチャレンジをしていきたいとは思っていて。そのバランスを大事にしたいと考えています。
── ファンクラブ「よねさんち」を作られたのも、ご自身の考えだったとか。
米倉 そうですね。でも、せっかく作ったのに、思ったようにすぐには進まないということも、やってみて分かったことです。悩みながら少しずつできることをやっている感じですね。
インスタグラムは一般向けとファンクラブ用と2つアカウントを持って、両者を区別するように内容も考えています。そのために私が直接やり取りしたり手間が増えたりしていますが、例えば(ファンクラブ向けには)1本動画を多くするとか、喜んでもらえることを一生懸命考えています。
コロナ禍だから直接触れ合う握手会とかもなかなかできない。だったら、「DISFRUTA」みたいなショーをやって、短くてもいいから来てもらった方においしいご飯を食べてもらって、今挑戦していることをお見せして……そういうのがあってもいいのかな、とか。
こうやって動き出してからも、試行錯誤の連続です。最近は、自分が1人になってやり始めていったことの思い出という意味で、写真だけでなくビデオを撮っておいてもらっています。年を重ねていくと、やれることも少なくなってきて、寂しくなるのかもしれないと思って。記録として少しずつ残しておきたいと思うようになりました。