未知子はもっとシンプルでいい


 2年ぶりの『ドクターX』も順調に回を重ねている。今回、米倉はドラマでも能動的に意見を出している。その中で特に新しかったのが、未知子が「年を重ねていく」、そのリアルを表現したいという点だ。


── 『ドクターX』も7シーズン目になります。今回、未知子という役について、改めてどう見つめ直しましたか?

米倉 未知子はもっとシンプルでいいんじゃないかと思っていたんです。シリーズが進むにつれてどんどんコメディー化していっている部分があるんですが、面白おかしく皆を笑わせようというノリではなく、「もっと体と向き合う」ことを思い出したいというか。

 笑ってくれるのは、真剣に演じているからだし、もちろん西田(敏行)さんとかエンケン(遠藤憲一)さんのシーンはお2人が動いているだけでも面白いじゃないですか(笑)。それに対する真剣な部分とで緩急を出せればと。未知子には本当に「ただ救いたい」っていう思いがあることが大事なんじゃないかと感じています。

 あとは、未知子も年を取ってきているというか……。(岸部一徳が演じる、未知子が所属する神原名医紹介所の所長・神原)晶さんも、もしかしたらスキップがちょっとできなくなってきたりとか、未知子も視力が落ちてきて見えづらくなってきたりとか。そんなリアリティーも大切にしたいと思っています。

 私が年齢を重ねているのと同様、未知子も、見てくださっている皆さんと同じように年を取っていく……そうしたほうが皆さんにもっと身近に見ていただけるんじゃないかと。

 視力が悪い医師の先生にお話を伺うと、ルーペを付けているときのほうが焦点が合っているから、終わった後にめまいがすることもあるそうです。そういう年齢を重ねていくことで、実際にある感覚や要素を、このドラマで取り入れていけたらと思っています。

『ドクターX~外科医・大門未知子~』
フリーランスの外科医、大門未知子が主人公の『ドクターX』誕生から10年、2年ぶりとなる新シリーズがスタート。この第7弾ではパンデミックによる医療崩壊を背景に、「東帝大」に舞い戻った未知子が目の前の命を救うべく奮闘する。11月25日放送の第7話(写真)では、かつて大門に憧れていた外科医・森本光(田中圭)が、「東帝大学病院」に帰ってくる──。(木曜21時/テレ朝系)
米倉涼子(よねくら・りょうこ)
1975年8月1日生まれ。神奈川県出身。モデルとして活躍後、99年より本格的に女優活動をスタート。代表作に『ドクターX』シリーズの他、ミュージカル『CHICAGO』などがある。22年1月13日には主演を務めるNetflixシリーズ『新聞記者』が世界同時配信予定。公式インスタグラム@ryoko_yonekura_0801、公式ファンクラブ「よねさんち」

文/細谷美香、平島綾子(日経エンタテインメント!編集部) 写真/アライテツヤ スタイリスト/野村昌司 ヘアメイク/奥原清一