米ビジネススクールのペンシルバニア大学ウォートン校が、日本の「2030年までに企業の役員に占める女性の比率を30%以上にする」という目標達成を支援するため、「ウォートン女性エグゼクティブリーダーシッププログラム」を日本企業向けに開始します(23年1月から通訳付きでオンライン開講予定)。20年から同校の学長を務めるエリカ・ジェームズさんに、プログラム内容や学長に就任するまでのキャリアなどについて聞きました。
米国本土でも女性向けのプログラムを実施
日経xwoman編集部(以下、――) ペンシルバニア大学ウォートン校は「ウォートン女性エグゼクティブリーダーシッププログラム」を開講予定です。米国本土でも女性向けプログラムを提供し、アップルやアマゾン・ドット・コムなどのグローバル企業が毎年女性エグゼクティブを送り込んでいると聞いています。そこで質問です。性別問わず参加できる一般的なプログラムと、女性向けのプログラムの違いについて教えてください。
エリカ・ジェームズさん(以下、ジェームズ) 内容に大きな違いはありません。どちらもキャリアを発展させたいと考える受講生が、マネージャーの手法やチームを効果的に導く方法、交渉術、組織戦略などを学びます。女性向けプログラムの大きな特徴は、受講生と教職員がすべて女性であること。それにより女性の受講生が授業中に質問しやすく、組織の中で女性であるがゆえに直面しがちな場面について話しやすい環境を整えています。
―― 米国で開講している女性エグゼクティブリーダーシッププログラムと、今回、日本で展開するプログラムとの違いはありますか?
ジェームズ 基本的には同じです。しかし、日本の文化的感度は考慮すべきだと考えています。日本の女性が組織の中で直面することの多い経験はプログラム内容に反映していきます。受講生によって細かな文化的なニュアンスが持ち込まれるでしょうし、当校の教員が歴史的・文化的な日本の遺産に気付くこともあるでしょう。なお、日本のプログラムも、米国で提供しているプログラムとほぼ同じ教員が教えます。
―― 日本の女性向けのプログラムを開講した狙いを教えてください。
ジェームズ 私たちは日本は世界で大変重要な役割を持っていると認識しています。次世代の女性リーダー育成について考えると、日本における女性のリーダーシップ促進は必要です。
―― 日本の経団連は「2030年までに企業の役員に占める女性の比率を30%以上にする」という目標を掲げています。しかし、22年の数値は9.1%(内閣府男女共同参画局資料から、東洋経済新報社「役員四季報」調べ)にとどまっています。目標達成にはどのような施策が必要だと思いますか?