ワイヤが当たって痛い、カップが浮く…約8割の女性がバストとブラジャーが合わずに不快に思った経験があるそうだ。この原因の一つがバストの左右差。実は、女性の約7割が右胸より左胸のほうが大きいというのだ。バストの左右差は、ブラジャー着用時の不快感だけでなく、バストトラブルの原因にもなる。2021年12月14日にECサイトで発売されたSAYUSA~toiro~(サユサ トイロ、以下SAYUSA)は、左右別々のサイズのカップが選べるブラジャー。製品開発を担当した本間佑史子(ほんま・ゆみこ)さんに話を伺った。
「日本人女性は胸が小さいと思い込んでいる」正しいサイズでないと体の負担に
フリーランスのフィッターとして活動し、これまで400人近くのバストをフィッティングしてきた本間さんは「女性が下着で求める一番のポイントは着用感やサイズです」と言う。
「日本人は胸が小さいと思い込みがちなんです。経験上多いのが、左右のうち小さいほうのサイズにバストを合わせてしまうケース。これだと、大きいほうはアンダーバストの円の部分である『バージスライン』の上に、小さいサイズのワイヤを押し当ててしまうことになります。つまりバストを支えているクーパー靭(じん)帯やバスト近くにあるリンパ節を無理に押さえ付けている。
クーパー靱帯は負担がかかって一度切れると再生しないので、バストの下垂の原因になりますし、リンパを押さえることで体への負担も心配です」(本間さん)
ワイヤの形状とバージスラインの不一致を、既存の商品で解決することは難しい。左右のカップをつなぎ替える規格の製品がほとんどないためだ。かといって、逆に大きい側のバストに合わせてしまうと小さいほうのカップの上辺が浮き、走ったり階段を下りたりするときに上下の振動が加わる。
小さいサイズを着用し続けてワイヤの先がバストに当たり摩擦が起き、皮膚障害が起こっている人も多く見てきたという。きついものを着用することで肌に色素沈着が起こることもある。下着は女性の体を守るアパレル商材だ。