試作品は「オーダーメイドより着用感が良かった」

 「すごく面白いと思ったんです。下着は原価が高いので、オーダーメイドにすると販売価格は1万円超。20代・30代の女性の多くはなかなか手が出ない価格です。ECサイトを展開するMaking idealが開発していたのは、量産の規格の中でカスタマイズできる仕組み。従来より格段に安価に、オーダーメイドに近い商品が販売できる。しかも既に生産体制まで整えられていた。これを聞き、私は鳥肌が立つくらいすごいことだと思いました」と本間さん。

 本間さんがこのプロジェクトに加入する前、ブラジャーのデザインを自由に組み替えられるサービスが検討されていた。しかし話を進めていく中で、この低コストなカスタマイズの仕組みを使い、左右のバストの大きさや形状の違いに対応するというアイデアが生まれた。本間さんは、2019年に彼女が独自に行った5000人の女性へのアンケートのデータをプロジェクトに提示。女性が下着の着用感に抱えている悩みを解決するサービスの検討につなげた。

 デザインにこだわりながらも、バストの形のコンプレックスも解決できるデザインにしたい。工場サイドも実現できると応じ、企画自体は1カ月たたないうちに決まった。

ショーツとのセットで7700円(税込)。ブラックレースがベースになっている
ショーツとのセットで7700円(税込)。ブラックレースがベースになっている

 「価格は重要でした。経験上、良いものができても、1万円台になってしまうと市場に受け入れられないだろうと感じていたからです。実は今回、ブラックのレースで統一しているのも、コストを抑えるための配慮です。どんなレースを使って、どんなデザインにすれば華やかに見せられるかを工場と相談をしながら進めました」

 着用感も追求している。カップの高さやトップ位置のミリ単位の調整まで担当パタンナーと話し合い、細かく対応した。

 「完成したサンプルを試着して、自社で作った1万円のセミオーダーのブラジャーより着用感が良いと思ったんです。ガッツポーズでしたね。良いものができたという自信になりました」

 本間さんはこれまで何度も、こうした製品プロデュースの依頼を受けていたが、全部断っていた。下着は製造原価が高いので、本間さんにプロジェクトのリード費用を支払っていたら利益が残らなくなってしまうという配慮からだ。

 「今回はすべてがパズルのピースのようにぴったりとはまっていました。だから、私も持っているバリューを最大限発揮できると感じ、ぜひやりたいですと返事をしました。初めてですね、製品プロデュースの仕事でその場でYesとお答えできたのは。そのくらいすごいと感じました」