前回、整形外科医でスポーツドクターの中村格子さんに「体幹」の大切さを教えてもらいました。女性の体幹は弱くなりやすいうえに、妊娠や出産、更年期などのライフステージで変化し、弱くなってくるという事実も…。最近手足の関節や痛みを感じる人はもしかしたら、体幹が関わっているかもしれません。今回はさらに深く、体幹の仕組みを解説します。

中村格子さんの世界一わかりやすい女性のための体幹講座
整形外科医が解説!女性の「体幹」が弱くなりやすい理由【1】
・体幹が弱くて硬いと、なぜ体形の崩れや痛み、尿もれに?【2】←今回はココ

・体幹チェック「肋骨と骨盤の間に4本分、指が入る?」【3】

体幹が弱いと「痛み」や「故障」につながる

 前回、体幹にとって必要なのは、「強さ」と「しなやかさ」とお話ししましたが、これらが失われることで、痛みやゆがみといった整形外科的な問題へと発展していきます。

 これらに密接なのが、体幹にある2種類の筋肉群「グローバル筋」「ローカル筋」です。

 主に、大きく縦に走る「グローバル筋」が背骨のダイナミックな動きを担う「強さ」のもとに。また、背骨の一つ一つの骨である椎骨に付着する「ローカル筋」が背骨の繊細な動きを担当して「しなやかさ」を作ります。このように、体幹ではこの2種類の筋肉群が助け合っています。

しなやかで安定した体幹を担う筋肉は大きく2種類

長い距離を一気に結ぶ【グローバル筋】

 表面に近いところにあり、ダイナミックな動きを担うが、背骨一つ一つのこまやかな動きは苦手。新幹線のように長距離を一気に結ぶ。

腹直筋(ふくちょくきん)
腹直筋(ふくちょくきん)
お腹の中央部分を縦に走る平たく長い筋肉。体幹を前に曲げたり(屈曲)、横に曲げたり(側屈)、回旋するときのほか、骨盤の角度をコントロールするときにも働いている
腹斜筋(ふくしゃきん)
腹斜筋(ふくしゃきん)
肋骨の一部から骨盤にかけて斜めに走る外腹斜筋(イラスト)と、脇腹にある内腹斜筋からなる。体幹をねじったり、前、横に曲げるとき、また、腹圧をコントロールするときにも働く
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
背中の中央を縦に走る、背部の最も長く大きな筋肉。脊柱の両側を走っている。体幹部を伸ばしたり、背中を反らしたり、横に曲げたりするときに働き、上半身を安定させる

短い距離を細かく結ぶ【ローカル筋】

 内側にあり、背骨の一つ一つの骨「椎骨(ついこつ)」の細やかな動きをコントロールする。ローカル線のように短い距離を結ぶイメージ。

腹横筋(ふくおうきん)
腹横筋(ふくおうきん)
お腹の一番内側を、ぐるりと腹巻きのように取り囲む筋肉。「椎骨」を安定させる働きがある。くしゃみをしたときなどにお腹にぐっとかかる腹圧を支える際にも働く
多裂筋(たれつきん)
多裂筋(たれつきん)
背中側にある深層筋で、首から始まり、胸、腰を通って仙骨(骨盤の中央の骨)にかけて、積み重なる椎骨一つ一つに付着。椎骨を安定させるとともに、細かい動きをコントロールしている