食後に血糖値が急上昇するのが「血糖値スパイク」。脳卒中や心筋梗塞、がんなどにかかる危険が高くなるので早めの対策が大切です。今回は、血糖値スパイクを防ぐ運動術を紹介します。
・太る生活が招く“血糖値スパイク” なにが問題?【1】
・血糖値スパイクを抑えるには、食事を抜かないことも大切【2】
・“血糖値スパイク”を防ぐ運動術 食後がポイント 【3】←今回はココ
血糖値スパイクを防ぐ運動術とは?
運動は血糖を消費するという点だけでなく、筋肉量を増やし、常に血糖を使い続ける体質をつくるという点からも血糖値の上昇を防ぐのに役立つ。
自らも1型糖尿病の患者である南昌江内科クリニックの南昌江院長は、2002年から16回連続でホノルルマラソンに参加、フルマラソンを完走し続けている。今も週3回、毎朝6km走っているが、走っている間は、注入するインスリンの量が半分で済むという。筋肉を活発に動かすとインスリンの効きがよくなるためだ。健康な人なら、それだけ膵臓の負担が減ることになる。
血糖値スパイクを防ぐ目的なら、フルマラソンのような激しい運動は必要なく、ウオーキングなどの軽い運動で十分だ。日本人約8600人を対象とした研究の結果、通勤中の歩行時間が片道20分間以上だと、糖尿病になるリスクが27%減ることが明らかになった。また、すでに糖尿病になった人を対象にした研究では、食後に2回、各3分間階段の上り下りをしてもらったところ、その後の血糖値が下がったことが報告された。
血糖値スパイクを予防する2つの運動ルール
1. 運動した日は血糖値が上がりにくい。階段歩行などの軽い運動を続けよう
運動で筋肉を動かすと、筋肉が糖を消費するためインスリン分泌が少なくても血糖値が上がりにくくなる。マラソンや自転車といった強度の強いスポーツでなくても、少し速く歩くのでもかまわない。
2. 食後に運動すると食後高血糖を防げる

糖尿病患者を対象に、食後3分間×2回階段の昇り降りをする/しないで血糖値を比較。階段の昇り降りをする人はしない人に比べて血糖値は下がった。