ストレスからくる“過敏性腸症候群”とは

 一方、ストレスでひどくなる便秘も。過敏性腸症候群(IBS)の便秘型だ。「ストレスを受けると腸の動きが悪くなる。また腸の知覚が過敏なため、強い腹痛も伴う」と鳥居内科クリニックの鳥居明院長。女性は便秘型に加え、下痢と便秘を繰り返す混合型も多いという。「お腹が痛くても便が出にくく、つらい思いをする人が多い」(鳥居院長)。

過敏性腸症候群はストレスと密接
ストレスで不安が生じると脳の室傍核からホルモン(CRH)が分泌され、腸が過敏に。そして、その腸の情報が情動を司る脳の扁桃体に伝わり、不安が増す。「脳腸相関」と呼ばれるほど両者の関係は深い
ストレスで不安が生じると脳の室傍核からホルモン(CRH)が分泌され、腸が過敏に。そして、その腸の情報が情動を司る脳の扁桃体に伝わり、不安が増す。「脳腸相関」と呼ばれるほど両者の関係は深い

 便秘は日常生活の質を落とす。便秘の人は、全体的な健康感や活力、心の健康が低いとの報告もあるほどだ(下グラフ)。

便秘は心と体の健康度を下げる
便秘は心と体の健康度を下げる
健康関連の生活の質(QOL)を測定する質問票を用いて、便秘患者と健常な人の比較を行った4つの研究結果を分析した。その結果、便秘患者は、全体的健康感、活力、家族や友人との付き合いが妨げられたかを示す社会生活機能、心の健康が低い。(データ:Aliment Pharmacol Ther.;31,938-949,2010を基に編集部で改変)

 次回は、「便秘のセルフケア」について紹介する。

中島 淳
横浜市立大学大学院医学研究科 肝胆膵消化器病学教室 主任教授・診療科部長
中島 淳 1989年、大阪大学医学部卒業。東京大学第3内科助手、ハーバード大学客員研究員、横浜市立大学附属病院消化器内科教授などを経て、2014年から現職。専門は難治性便秘など。
鳥居 明
鳥居内科クリニック院長
鳥居 明 1980年、東京慈恵会医科大学卒業。同大学院博士課程修了。同大助教授などを経て、2006年から現職。専門は消化器科、過敏性腸症候群など。東京都医師会理事なども務める。

取材・文/佐田節子 図版/三弓素青 グラフ作成/増田真一