乳酸発酵漬けで食物繊維と乳酸菌を一度に摂取を

 発酵が進むと、乳酸のほかにアミノ酸、香り成分が産生され、まろやかな酸味やうまみが生まれる。世界各国の料理に詳しい荻野さんは、「ピクルスのように砂糖やスパイスをたくさん入れなくても、野菜のうまみで十分においしくなる」と話す。

 野菜の食物繊維と、乳酸菌を一度にとれる「乳酸発酵漬け」は、おいしいだけではなく健康にもいい。「野菜を塩水に漬けて増える乳酸菌は、暑さ寒さなど過酷な条件下でも生き抜くタフな種類が多い。加熱せず食べれば、生きて腸まで届く可能性が高く、整腸効果が期待できる」(宮尾客員教授)。また、増えた乳酸菌をたっぷりとれば「加熱した乳酸菌でも整腸効果があるという報告も。免疫を高める作用も期待できる」(宮尾客員教授)。

塩水に漬けると乳酸菌が増えて発酵する
漬け汁が白濁してきたら発酵が進んだサイン
漬け汁が白濁してきたら発酵が進んだサイン
 「濁りの正体は乳酸菌そのもの。2〜3日で乳酸菌は1ml当たり1000万〜1億個以上に増えていると考えていい。乳酸菌が増えると乳酸が大量に作られるため、酸味も増す」(宮尾客員教授)。実際に漬け込んで4日目にリトマス試験紙でpHを調べたところ、酸性に変わっていた。

白濁は乳酸菌が増えた証拠!

 白濁は乳酸菌が増えるとどんな効果があるのかは下記の通り。

●整腸効果アップ
●保存が利く
●減塩になる
●うまみが増す
●野菜不足の解消にも!

 さまざまなメリットがある「乳酸発酵漬け」。次回は、いよいよ「乳酸発酵漬けの作り方」を紹介する。

荻野恭子(おぎの きょうこ)
料理研究家
荻野恭子(おぎの きょうこ) 栄養士。料理教室「サロン・ド・キュイジーヌ」を主宰。ロシアや中国など50カ国以上を訪れて食文化を研究し、料理番組など多方面で活躍。近著に『乳酸発酵漬けの作りおき』(文化出版局)、『塩ひとつまみそれだけでおいしく』(女子栄養大学出版部)
宮尾茂雄(みやお しげお)
東京家政大学大学院 客員教授
宮尾茂雄(みやお しげお) 中国四川大学客員教授。東京都立食品技術センター副参事研究員などを経て2008年より東京家政大学教授。2020年より現職。『漬物の機能と科学』(朝倉書店)など著書多数。「野菜を塩漬けにして発酵しやすい温度は20℃前後。暖かくなる春に始めれば失敗しにくい」

取材・文/松岡真理 レシピ・料理作成/荻野恭子 写真/野口健志 スタイリング/宮田桃子