妊婦の温泉利用が“解禁”

 温泉療法専門医でもある東京都市大学人間科学部の早坂信哉教授は、「この32年間に蓄積された科学的な研究成果を整理して、根拠の不十分な情報は削除する一方、新たな情報が追加された。さらに、病名などについて、時代にそぐわない表現を改めたもの」と説明する。

 例えば、温泉に入ってはいけない「禁忌症」として、これまでは「妊娠中(特に初期と末期)」という項目があったが、今回の改訂で削除された。妊婦も産婦人科医と相談しながら、不安なく温泉療養を行えるようになったわけだ。

 また、適応症には泉質を問わず共通する「一般的適応症」と、泉質ごとの「泉質別適応症」があり、どちらも最新研究を基にわかりやすい病名に整理された。ちなみに、女性に多い冷え性、自律神経不安定症、腰痛症、胃腸機能の低下(胃もたれ、腸にガスがたまる)などは「一般的適応症」に含まれ、どこの温泉(療養泉)でも効果が得られる。

■欲張りすぎは厳禁! 温泉の効果的な入り方
1. 入浴前には「かけ湯」をしよう
急な入浴は血圧の急上昇などをもたらすことも。手足から順に、全身に「かけ湯」をしてから入ろう。

2. 入浴時間は10分が目安
長湯は「湯あたり」の原因に。温泉療養に慣れるまでは、3〜10分の入浴を数回繰り返す程度にとどめよう。

3. 温泉のタイプ(泉質)によっては「上がり湯」を使おう
温泉成分を肌に残すため「上がり湯」は使わないのが通例だが、酸性泉、硫黄泉など刺激の強い泉質では上がり湯を。

4. 入浴後は30分ゆっくりしよう
急激な体温変化を防ぐため、まずは適度な水分補給を行い、30分程度はゆっくりと静かに過ごそう。
早坂信哉
東京都市大学 人間科学部教授、日本健康開発財団 温泉医科学研究所長
早坂信哉 博士(医学)。温泉療法専門医。浜松医科大学准教授、大東文化大学教授を経て、2015年より現職。「遠くの温泉に行くのもいいですが、定期的に利用しやすい『身近な温泉』で、温泉療養の良さを実感してみてください」。

取材・文/荒川直樹