美肌にもいい!甘酒の効果

 食品成分データベースによると、甘酒のカロリーは100g当たり81kcalとそれほど高くない。麹と酒粕ともに腸内環境の改善以外にもさまざまな働きがある。代表的なのが美肌効果。酒粕と麹を使用した甘酒を継続的に飲むと、過剰な皮脂を抑制するという研究結果がある(下グラフ)。目の下のクマが改善したという報告もある。

■酒粕と麹を使用した甘酒で肌の皮脂量が低下
■酒粕と麹を使用した甘酒で肌の皮脂量が低下
女性17人を対象に「甘酒」と「甘酒を含まない飲料」を比較。1カ月間毎日、1日2回継続して使用した結果、甘酒を飲んだ群で有意な皮脂量の低下が認められた(データ:東京工科大学と森永製菓の共同研究)

 他に脂肪肝の人が12週間、毎晩麹甘酒150mlを摂取したことで、便秘や疲労感などが改善したという研究結果もある。さらに「油の多い食事と一緒にグルコシルセラミドをとると、小腸での油の吸収を抑制する作用もあることがわかっている。グルコシルセラミドや麹は研究が盛んな分野だが、麹を適量摂取してなにか悪くなるというデータは出ていない」(北垣教授)という。

日本人が飼いならした麹菌
麹菌の胞子(写真:中島教授)
麹菌の胞子(写真:中島教授)
 米麹は、米を蒸して麹菌の胞子をまき、一定の温度に保ってつくられる。麹菌の学名A.オリゼーは、「米に生えるカビという意味」(中島教授)。毒素を生産する菌(A.フラバス)と遺伝学的にも形態的にも非常によく似ているが、「毒をつくることができる遺伝子が壊れているので、毒素をつくれないことがわかっている。室町時代にはプロの種麹屋がいたという記録が残っており、長い歴史のなかで日本だけが麹菌をうまく使いこなしてきたのだろう」(中島教授)。

 次回は、「便秘タイプ別 ちょい足し甘酒レシピ」を紹介します。

北垣浩志
佐賀大学農学部生物環境科学科 教授
北垣浩志 東京大学・大学院修了。同大学院非常勤講師、米国サウスカロライナ医科大学などを経て2015年より佐賀大学教授。この間、科学技術分野の文部科学大臣表彰、先端技術大賞・特別賞など受賞。著書に『生化学・微生物学』(三恵社)など。
中島春紫
明治大学農学部 教授
中島春紫 東京大学大学院農学研究科博士課程修了。農学博士。東京大学大学院助教授、明治大学農学部助教授などを経て、2007年から現職。主な著書に『日本の伝統 発酵の科学(ブルーバックス)』(講談社)など。

取材・文/岡本 藍 写真/福知彰子 グラフ/増田真一