自分が我慢をしていることに気付くことがスタートです

──瞑想は、自律神経失調症状の改善にも有効でしょうか。

川野 だるさ、肩や頭が重いといった、自律神経失調症状がある人にこそ瞑想が必要です。自律神経失調症は心にため込んだストレスに気付けないことによって体がSOSを発している状態です。自分の体の感覚に意識を向けると、本来備わっている、自分の内側の変化をモニターする能力が取り戻されます。そこで感じた体の感覚を心が受容することによって、無意識のうちに封じ込めていた感情に気付き、私はつらかった、ずっと我慢をしていた、と言語化することができる。これが“気付き”のスタート地点です。すると、肩こりや頭痛といった症状も改善されていきます。

──瞑想という行動が体を治していくのですね。

川野 大切なのは、目的を持たないこと。今から気分転換をするぞ、と瞑想をすると、自分は気分転換できているか、ということにとらわれ、行動そのものに集中できなくなります。日ごろ当たり前にやっていることを使って気持ちよく瞑想してみよう、ぐらいのゆったりとした心持ちで取り組んでみてください。

 

次回は、“すき間瞑想”習慣で、対人関係に変化が起こる【2】について紹介します。

川野泰周
精神科・心療内科医、臨済宗建長寺派林香寺住職
川野泰周 RESM新横浜睡眠・呼吸メディカルケアクリニック副院長。1980年、横浜生まれ。慶應義塾大学医学部医学科卒業。3年半の禅修行の後、2014年より現職。寺務の傍ら、都内および横浜市内のクリニックなどで精神科診療を行う。最新著『精神科医が教える 疲れにくい生き方』(クロスメディア・パブリッシング)のほか、『ずぼら瞑想』(幻冬舎)など著書多数。

取材・文/柳本 操 写真/鈴木愛子 イラスト/PIXTA  構成/羽田 光