食べ過ぎ防止やエネルギー代謝につながる“野菜の”栄養効果

 野菜を増やしてやせる理由は明らかではないが、「野菜に含まれる食物繊維やポリフェノール、水分などの働きにより、食べ過ぎを抑えたり、脂質やエネルギー代謝の調整につながった可能性が考えられる」と澤田室長。

 特に、ネギ類野菜や黄・赤色野菜を多くとっていた人は、体重減少量が多かった(下記グラフ)というが、「特定の種類だけを食べて、同様の効果が得られるかはわからない」と澤田室長。いろいろな種類を食べよう。

日本人の食事調査からわかった“ダイエットの方程式”がこれだ!

日本人の食事調査からわかった“ダイエットの方程式”

 厚生労働省の「健康日本21」で、健康のために設けられた野菜摂取目標量は成人1日当たり350g。この量をすでにとっている人も、不足している人も、今から1日100g以上野菜を多くとるように生活を変えていけばダイエット効果は期待できそうだ。

ネギや黄・赤色野菜がダイエット効果大!
黄・赤色野菜(4種類:ニンジン、カボチャ、トマト、トマトジュース)
ネギ類野菜(2種類:タマネギ、ニラ)
緑色野菜(5種類:ホウレンソ草、春菊、ピーマン、ヨモギ、サヤインゲン)
アブラナ科野菜(11種類:キャベツ、大根、大根の漬物、白菜の漬物、白菜、小松菜、チンゲンサイ、カラシナ、野沢菜漬物、フダンソウ、ブロッコリー)
その他(7種類:キュウリ、キュウリ漬物、ナス漬物、レタス、モヤシ、ゴーヤ、ヘチマ)

1990年と93年に全国の40〜69歳の男女14万人を対象にスタートした多目的コホート調査。5年後調査時にがん、循環器疾患、糖尿病、高血圧、脂質異常症になっていなかった5万4015人に、5年間の野菜摂取量の変化と、5年間の体重変化との関係を調べた。グラフは5年間の野菜摂取量が1日100g増加するごとの体重変化量。(データ:Eur J Nutr.;2020 Apr 6. doi: 10.1007/s00394-020-02236-x)
1990年と93年に全国の40〜69歳の男女14万人を対象にスタートした多目的コホート調査。5年後調査時にがん、循環器疾患、糖尿病、高血圧、脂質異常症になっていなかった5万4015人に、5年間の野菜摂取量の変化と、5年間の体重変化との関係を調べた。グラフは5年間の野菜摂取量が1日100g増加するごとの体重変化量。(データ:Eur J Nutr.;2020 Apr 6. doi: 10.1007/s00394-020-02236-x)
ほかにも野菜はこんなにいい!
 各国の調査でわかってきた野菜の健康効果。海外のコホートからは200g多く食べるごとに心血管疾患や脳卒中、がん罹患リスクが減少するなどの報告も。
・胃・食道・肝臓・大腸のがんのリスクを低下
・100g多く食べるとうつ病発症リスクが低下
・200g多く食べると心血管疾患のリスクが低下
・死亡率を低下(アブラナ科野菜)
・糖尿病や乳がんのリスクを低下(アブラナ科野菜)

 次回は、「野菜+100gでやせやすく!ラクに叶えるレシピ【2】」を紹介する。

澤田典絵 (さわだ・のりえ)室長
国立がん研究センター がん対策研究所 コホート研究部
澤田典絵 (さわだ・のりえ)室長 専門はがん疫学。1999年札幌医科大学医学部卒業、2005年北海道大学大学院医学研究科社会医学専攻博士課程修了。05年より国立がんセンターがん予防・検診研究センターに勤務し、2021年9月より現職。

取材・文/渡辺満樹子 写真/鈴木正美 スタイリング/久保田朋子 グラフ作成/増田真一 構成/堀田恵美