お腹や二の腕にたまった、しつこい脂肪。つい「お前なんか消えろ!」なんて気分になることも。でも、ちょっと待って。脂肪は実は、重大な機能を担う、とっても働き者の組織。ただ、働けば働くほど嫌われる、なんともざんねんな事情を背負っているのです。

・ざんねんな「脂肪細胞」、働いてるのに嫌われる【1】←今回はココ
・「脂肪細胞」の3つのスゴイ働き【2】

 体脂肪は嫌われ者だ。別名の「ぜい肉」という呼び方からも、いかにも“嫌われている感”が漂う。だから薄着の季節には、多くの人が嫌な脂肪を“撃退”すべくダイエットに取り組む。

 体脂肪って、そんなに悪者なのだろうか? 確かに、脂肪が多すぎる状態=「肥満」は、メタボなど生活習慣病の原因である。ただ、それはあくまで過剰にある場合。根こそぎなくなればいい、というものでもない。

 「体脂肪は本来、私たちが生きていくための重要な機能を担う組織。とりわけ女性にとっては、月経や妊娠に直結するとても大切な役割があります」。こう話し始めたのは、東京大学先端科学技術研究センターで脂肪細胞の研究をする酒井寿郎教授だ。

 酒井教授によると、体脂肪を形成する細胞=「脂肪細胞」は2種類あり、全く異なる役割を担っているという。余ったエネルギーを蓄える「白色脂肪細胞」と、脂肪を燃やして熱を作る「褐色脂肪細胞」だ。

 ふーむ。「エネルギーを蓄える」は、体脂肪のイメージそのものだが、「熱を作る」とは、どういうこと?

 「褐色脂肪細胞の役割は、寒さから身を守ることです」(酒井教授)。これは首の後ろやわきの下あたりに分布する褐色の細胞群で、強い発熱作用を持つ。生まれたときから備わっているので、「万一、寒空の下で生まれても、すぐに体を温められます」(酒井教授)。人間も動物。厳しい野生の環境でも生きられる仕組みを、身に備えているのだ。