長湯は禁物! 肌の乾燥が進みやすい
やる気が出ないときは、42℃の熱めのお湯だと活動モードの交感神経が優位になる働きを利用して、42℃のお湯に5分つかるといい。ここ最近、うつうつとした状態が続いているな、というときは、朝少し早めに起きて入浴するといいだろう。
「入浴によるストレスや不安の軽減効果は、さまざまな医学研究や心理学の実験で明らかになっている。朝は入浴するのが面倒という場合は、42℃のシャワーを浴びるだけでもOK。その際、風呂桶や洗面器に43℃ぐらいのお湯をためて足をつけるのがお薦め。ただシャワーを浴びるだけよりも、体が温まりやすくて効果が増す」
逆にイライラや焦りで気が立っているときは、リラックスモードの副交感神経を優位にしたいから、長めにのべ20分、40℃のお湯につかるといい。もっと長くつかれば、もっと効果があるのでは? と考えるのはやや早計。リラックス効果は増すが、肌のうるおいを奪ってしまう。
「肌のうるおいを保つ主要成分のセラミドは、お湯につかることで流出するため、長湯は禁物。たくさん汗をかいたわけでもないのに、1日に何度も入浴するのも避けるべき。セラミドが必要以上に奪われて、乾燥が進む。入浴直後は、肌の角質が水分を吸うためうるおったように見えるが、一時的なものにすぎない」
繰り返すが、基本の入浴法は、お湯の温度は40℃で全身浴、合計10〜15分。これを1日1回だ。
早坂教授のチームが約1万4000人の高齢者を対象にして調査したところ、毎日入浴する人は、3年後に要介護になるリスクが29%低かったという。高齢者になるのはまだ先だが、毎日の入浴が健康寿命を延ばす一因であることは覚えておこう。
熱めの42℃のお湯に5分つかることで、交感神経を刺激して心身を活動モードに切り替えられる。朝、出勤前などの時間がないときは、同じ42℃の熱めのシャワーを浴びるだけでもやる気アップにつながる。
東京都市大学 人間科学部教授、温泉療法専門医、博士(医学)

取材・文/茅島奈緒深 構成/高宮 哲