食品を保存するのに、ただ冷蔵庫や冷凍庫に入れるだけではダメ。同じ食材でも保存法、調理法次第でおいしさも栄養価も大きく変わります。栄養を100%とる正しい保存法と調理法を、食のプロに伝授してもらいました。今回は野菜の栄養損失を抑える冷蔵テクニックをお伝えします。

野菜の栄養を100%とる!究極の方法
野菜の栄養を落とさない!究極の保存術、その基本とは【1】
・野菜の栄養を100%とる!究極の冷蔵テクニック【2】←今回はココ

・野菜の栄養を100%とる!究極の冷凍・解凍テク【3】
・野菜の栄養を100%とる!究極の食べ方テク【4】

包んで守る保存で栄養成分の減少を抑える

 食品を冷蔵することで日持ちしやすくなるのは、低温環境では雑菌などの活動が緩やかになるからだ。だが、「野菜は、ただ冷蔵庫に入れておくだけではダメ。乾燥などを防ぎ、野菜に快適な環境を作るため、紙などで包んでポリ袋に入れた上で、種類ごとに適した場所で保存する。そうすることで鮮度や栄養を長く維持できる」と管理栄養士の弥冨秀江さん。

 一方、1963年に創立され、料理教室や出版、調査研究などを行うベターホーム協会によると、「野菜を保存するには湿度と温度がポイント。野菜によって、適した温度帯が異なるが、冷蔵庫の野菜室(5〜7℃)での保存が向いているものが多い」という。

基本のステップ

  野菜をキッチンペーパーや新聞紙などの紙で包むのは、表面につく水滴を吸着したり、適度な湿度を保ち乾燥を防止するため。冷蔵庫内は乾燥しているので、さらにポリ袋やジッパー付き保存袋に入れて保存しよう。

【step1】袋から出し、生長点を取っておく
【step2】葉もの野菜は根元を水につける
【step3】水気をしっかり切る
【step4】紙にくるんでポリ袋に入れ、野菜室へ

包んで守るためのヒント

【ヒント1】生長点をカットして、栄養の消費を防ぐ
生長点とは、葉や茎の先、芯など、野菜が活発に細胞分裂を繰り返している部位のこと。細胞分裂が進むほど栄養や水分を消費してしまうので、生長点を切って保存するほうがいい。

【ヒント2】乾燥、腐敗の原因となる“光、温度、湿気”を避ける
直射日光が当たる場所や温度や湿度が高い所は、雑菌が繁殖しやすい。腐敗を避け、野菜に快適な環境を作るよう、紙とポリ袋で包んで冷蔵庫の野菜室か冷暗所で保存しよう。

【ヒント3】「呼吸」を妨げてビタミンCをキープ
野菜は収穫後も生きており、「呼吸でビタミンCや糖分を消費してしまう」と弥冨さん。紙などで包んで適度に呼吸を妨げることで栄養やおいしさをキープできるという。

常温保存が向く野菜も
夏野菜は冷気が苦手。果物も常温で保存
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  ナス、トマト、キュウリなどの夏野菜は冷気が苦手。「冷蔵保存すると、皮が硬くなったりしぼんでしまい、ビタミン、ミネラルなどの栄養が減る低温障害が起きるので冷暗所での常温保存を。ただし、室温が高くなる夏場や切ったものは野菜室に」(ベターホーム協会)。

キノコは日光浴でビタミンDが増える。一度干してから常温保存
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 「シイタケやシメジなどのキノコに含まれるエルゴステロールという成分は、天日干しにすることでビタミンDに変わる」(弥冨さん)。すぐ使うときは30分〜数時間、保存用にするなら1、2日干して、冷暗所で常温保存する。