「私が描く、選ぶ、動き出す。」―― 新生・日経xwoman(クロスウーマン)がスタートしました。変化の速い時代、私たちはどんな選択をしてどんな道を歩んでいくのか。自分らしく動き出そうとする私たちの一歩を語り、世代を超えて、次の勇気や力につながっていくサイトを目指しています。

 本特集では、この1~2年に仕事や生活面で大きな「変化」を経験している方たちの声を集めました。各界で活躍する11人をインタビューしたほか、300人以上の読者にアンケートを実施。特集第2回は、昆虫を使ったバイオマス技術のムスカのCEOを退任し、新たな道を歩み始めた流郷綾乃さん(31歳)に話を聞きました。

ムスカ元CEOの流郷綾乃さん
ムスカ元CEOの流郷綾乃さん
●流郷綾乃さんの「変化」
ムスカCEOを退任。2カ月の休息期間を経て、新しい事業に挑戦

●背景
20代を見つめ直し、新たな目標に向け歩み始めた

●今の自分を支えるもの
・ジェットコースターに乗っていたような20代の経験
・小学生になった子どもたちの未来
・前職で培った環境問題への意識
・「次世代に残せる事業を支援したい」という確固たる思い

「やり切った」と代表取締役CEOを退任

 20代を「仕事もプライベートもジェットコースターに乗っているような日々だった」と話す流郷さん。30代に入り休息期間を経て、今まさに新しい扉を開こうとしている。

 プライベートでは21歳で出産。2人の子どもに恵まれるも、2度の離婚を経験しシングルマザーに。子育てをしながら仕事では広報の専門家として、会社員とフリーランスを経験。

 2017年10月、知人に誘われ、ハエを使ったバイオマステクノロジー事業を展開する会社ムスカに広報戦略として参画。2018年には「究極の広告塔になる」という思いから代表取締役に就任し、本格的に経営に参画する。事業ステージに合わせて経営陣が変わるべきだという思いから、「代表取締役暫定CEO」というユニークな肩書に。2019年には「昆虫産業元年」を掲げ、「代表取締役CEO」に就任した。

経営は未経験だった。「事業のためにできる限りを尽くしたいと思い、日々インプットとアウトプットの連続でした」
経営は未経験だった。「事業のためにできる限りを尽くしたいと思い、日々インプットとアウトプットの連続でした」

 広報担当から経営者という未経験の役職になり、手探りながらも必死にもがく日々。1年後、「自分の役目は終えた」と退任を決意する。

 「国内外のピッチイベント(事業内容やプロジェクトをプレゼンテーションで競うイベント)で優勝したり、経済産業省が推進するスタートアップ支援プログラム『J-Startup』に参画したりするなど、当初の目的であった企業認知には十分に貢献できました。ムスカが企業として次のフェーズへいくために、このバトンを渡さなければならないと思ったんです」流郷さんのポジションには創業者が就任した。

 「会社に残る選択肢もあったのですが、複数の人が意思決定者として残ってしまったら、ほかのメンバーが混乱してしまいます。事業の成長にとって一番いいタイミングは今しかないと思い、最後の経営判断をさせてもらいました」