「私が描く、選ぶ、動き出す。」―― 新生・日経xwoman(クロスウーマン)がスタートしました。変化の速い時代、私たちはどんな選択をしてどんな道を歩んでいくのか。自分らしく動き出そうとする私たちの一歩を語り、世代を超えて、次の勇気や力につながっていくサイトを目指しています。

本特集では、この1~2年に仕事や生活面で大きな「変化」を経験している方たちの声を集めました。各界で活躍する11人をインタビューしたほか、300人以上の読者にアンケートを実施。今回紹介するのは、新国立劇場バレエ団指揮者の冨田実里さんです。冨田さんは「バレエ公演は皆で『一つの山』を登る登山のようなもの」と言います。その心は?

(上)コロナ禍で海外指揮者が不在 出番が5倍に 冨田実里 
(下)芸術は人間社会の縮図 私なりの発信をしたい 冨田実里←今回はここ

「さまざまな指揮者を見たという経験が、今、私が『こうしてみたい』『ああしてみたい』と試行錯誤する根っこにあります」
「さまざまな指揮者を見たという経験が、今、私が『こうしてみたい』『ああしてみたい』と試行錯誤する根っこにあります」

お互いの理想を持ちつつ、お互いを尊重し合う

 冨田さんは、新国立劇場バレエ団のレジデント・コンダクター(正指揮者)に就任する前、新国立劇場で副指揮者やピアニストとして活動していた。副指揮者時代から、来日する外国人指揮者のアシスタントを務めながら、他の数多くの指揮者のやり方を学んできたという。

 「さまざまな指揮者の仕事を間近で見てきたという経験が、今、私が『こうしてみたい』『ああしてみたい』と試行錯誤する根っこにあります」

 指揮者のアシスタントとして豊かな経験を積み重ねてきたからこそ、コロナ禍で海外の指揮者を招へいすることが難しくなった今、正指揮者を任されるというチャンスを生かせている。

 「バレエ公演は皆で『一つの山』を登る登山のようなものです」とも言う。

 登山コースには色々ある。音楽家には音楽家の登山コース、ダンサーにはダンサーの登山コース、舞台スタッフには舞台スタッフの登山コース。コースは違っても、目指す場所は同じだ、と。

 「山を登る過程は、お互いの都合や理想を知り合っていく時間でもあります。『ここはゆっくりしたテンポにしたほうが踊りやすい』『もう少しスピード感があるほうがいい音楽になる』――。そうした駆け引きやお互いの意思の疎通が必要になります」