「私が描く、選ぶ、動き出す。」―― 新生・日経xwoman(クロスウーマン)がスタートしました。変化の速い時代、私たちはどんな選択をしてどんな道を歩んでいくのか。自分らしく動き出そうとする私たちの一歩を語り、世代を超えて、次の勇気や力につながっていくサイトを目指しています。本特集では、この1~2年に仕事や生活面で大きな「変化」を経験している方たちの声を集めました。各界で活躍する11人をインタビューしたほか、300人以上の読者にアンケートを実施。今回紹介するのは妊娠・出産を経て、夢だった投資会社を立ち上げた矢澤麻里子さん(37歳)です。

●矢澤麻里子さんの「変化」
1年の育休を経て、2020年に投資会社を立ち上げた

●背景
子どもの存在が独立を後押しした

●今の自分を支えるもの
・国内外でのキャピタリストとしての実績
・子どもを授かって芽生えた「未来をよくしたい」という思い
・育児に積極的な夫のサポート
・「女性起業家と女性投資家を創出する」という決意

独立を考えていたときに妊娠が分かった

 第1子を出産し、育児休業から復帰した2020年にベンチャーキャピタル(VC、投資会社)を立ち上げた矢澤麻里子さん。国内外のベンチャーキャピタルで約8年働き続けて十分に経験や実績があったにもかかわらず、「育児をしながら本気で投資家が務まるのか」と聞かれたことも。「今までのキャリアは認めてもらえても、『これから先はどうなるか分からないよ』となかなか理解してもらえなくてつらかったですね」

 それでも独立を決めた背景には、「世の中をよりよくしようと考える起業家やスタートアップ企業を支援したい、そして女性が活躍できる社会をつくりたい」という揺るぎない思いがあった。

Yazawa Ventures CEOの矢澤麻里子さん
Yazawa Ventures CEOの矢澤麻里子さん

 会社経営をしていた父親の影響で、幼少期から起業に興味があったという矢澤さん。だが、最初のサービス展開は失敗に終わる。「ニューヨーク州立大学へ進学し、卒業後すぐに語学事業を立ち上げました。しかし事業計画や資金繰りが甘かったためうまくいかず。今の実力では起業してもダメだと思い、日本へ帰国。ソフトウエアベンダーに就職することにしました」

 しばらく、コンサルタントやエンジニアとして働いた。仕事にやりがいを感じていたものの、次第に「世の中をよくするため、自分にもっとできることはないか」と新たな可能性を模索するように。

 「そこで興味を持ったのが、スタートアップ企業を資金面で支援するベンチャーキャピタリスト(投資家)という働き方でした」と矢澤さんは話す。もう一度、事業を手掛けるという選択肢もあったが、「自分の培ってきたビジネスノウハウを生かし、起業家たちをサポートする側に回るほうが、社会への貢献度は高いと思ったんです」

 そこからは、ベンチャーキャピタリストを目指す道へ。2011年当時はリーマンショックの後、かつ日本ではベンチャーキャピタルの数が多くなかったため国内での転職は断念。本場である米国へ再び行き、シリコンバレーでベンチャーキャピタリストの仕事を経験する。その後、満を持して日本のベンチャーキャピタルへ転職した。

 2017年には米国の企業支援大手Plug and Playの日本法人の立ち上げ、COOに就任。組織づくりのほか、投資先と大手企業をつなげて事業アイデアや新規ビジネスの実証実験や事例づくりをサポートする「アクセラレーションプログラム」に従事。その波に乗り、「ベンチャーキャピタリストとしてさらに成長していきたい」と独立を考え始めたとき、妊娠が分かった。