ダニやペット、ストレスを背景に増えているという「大人の喘息」。成長とともに出なくなることの多い小児喘息と異なり、成人喘息は発症すると一生の付き合いになる非常にやっかいなもの。発症のリスクとなる生活要因は? どんな治療が必要になる? といった成人喘息の基本情報を専門医に聞きました。

【前編】風邪の後の長引く咳は「ただの咳」?「怖い咳」?
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かかるとやっかいな大人の喘息

 たまに出るくらいなら見過ごされがちな「咳」。だが、風邪の後に長引く咳を放っておくことで喘息につながることがある。

 喘息は呼吸器疾患の中でも慢性化し、生活の質を著しく落としかねないやっかいな疾患だ。気道が慢性的な炎症により狭くなり、そこに何かしらの刺激が加わると激しい咳と息苦しさをともなう発作が起こる。激しい発作が長く続くと呼吸困難になり命に関わることもある


【喘息患者の気道は炎症により狭まっている】
・健康な人の気道
<span class="textCol">・健康な人の気道</span>
・喘息患者の気道
<span class="textCol">・喘息患者の気道</span>
喘息の気道は慢性的な炎症で狭くなっており、刺激にも過敏な状態。発作が起こると気道が強い炎症でさらに狭まり呼吸が苦しくなる。気道の組織は発作後に修復が試みられるが、不完全なまま発作が繰り返されるうち気道の壁が分厚くなり、さらに狭くなるので症状が重くなるという悪循環に。

 子どものころに発症する小児喘息は、成長に従い免疫系が変化することで放っておいても6~8割の人で徐々に症状が出なくなる。ところが大人になってからの成人喘息は放置していると重症化し、難治性になる恐れがある。この成人喘息の7割は、子どものころは喘息がなかったのに大人になって初めて発症する人だという。