血液が脚に滞って起こる下肢静脈瘤。見た目の悪さから皮膚の異常と思われがちだが、実は血管の病気だ。血流不全でむくみなどのつらい症状を伴うことも多いこの病気、コロナ禍の運動不足、水の飲みすぎなどが影響する可能性がわかってきた。専門家に話を聞いた。

下肢静脈瘤の原因と対策、治療法
【第1回】コロナ禍による生活変化が「下肢静脈瘤」のリスクに←今回はココ
【第2回】下肢静脈瘤の治療 レーザーやグルーなど多様に

Check! こんな人は注意!下肢静脈瘤のリスク&前兆
□ 親が下肢静脈瘤
□ 肥満
□ 出産経験がある
□ 立ちっぱなしでいることが多い
□ 脚のむくみ、だるさ、こむら返りがしばしばある
□ ひざの内側にぷくっとした膨らみがある
該当項目が多いほど要注意。重さやいきみなど、脚の静脈への圧が高くなることがリスクに。遺伝的要因も強い。ひざの内側は皮膚が薄く柔らかいため初期の静脈瘤でも見つけやすい。

血管が浮き出る下肢静脈瘤 原因は静脈弁の破損によるうっ血

 下肢静脈瘤とは、脚の皮膚に近い表在静脈で、血液の逆流を防ぐ弁が機能不全になるために血液がたまり(うっ血)、血管がコブ状に浮き出たり、皮膚表面に網目状やくもの巣状に血管が見えたりする疾患だ。むくみやだるさなどの不快な症状を起こすこともある。

逆流を防ぐ弁が壊れて静脈血が心臓に戻らず血管内にたまる
逆流を防ぐ弁が壊れて静脈血が心臓に戻らず血管内にたまる
正常な血管
正常な血管
静脈の中には、血液が心臓に戻るときだけ開く静脈弁があり、逆流を防いでいる。
静脈瘤のある血管
静脈瘤のある血管
弁が機能不全になると、血液が逆流し、たまって静脈が膨れ、皮膚表面に浮き出てくる。

 静脈にある弁は加齢で弱くなるが、加えて、立ちっぱなし、妊娠出産、肥満など、脚にかかる“圧力”が大きければそれだけ脚の静脈血が心臓に戻る際の抵抗が大きくなるため、発症リスクは高まる。また、「動脈血は心臓のポンプ機能で全身に押し出されるが、静脈血はふくらはぎの筋肉がその役割を担う」と、横浜血管クリニックの林忍院長。よって、運動不足もリスクになる。