ひとくちに更年期対策といっても、ライフステージや症状によって「いつ」「何を」するかは変わってきます。そこで、産婦人科医の吉形玲美さんが提唱するのが「閉経マネジメント」。明解なチャートで、更年期とその前後をラクに過ごせる、日常生活でできるタイプ別の対策がわかります。今回は主に食事のギアチェンジについてご紹介します。

閉経マネジメント
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そろそろ閉経?という人が知っておくべき検査と運動【2】

50~60代は骨密度の曲がり角!

「更年期」とは医学的に、閉経前と後の5年を含む約10年間のことをいう。その前までは全身を巡って健康を守っていた女性ホルモンが徐々に減少し、その働きが急激に減る閉経は女性にとって一大事といっていい。

「日本人女性の平均寿命はこの100年間で倍近くに延びたものの、閉経の平均年齢は昔も今も同じ。現代の女性にとっては、閉経後も続く長い人生を心身の不調から解放する閉経マネジメントの重要性がますます高まっている」と、浜松町ハマサイトクリニックの吉形玲美医師は話す。

 吉形医師が提唱する閉経マネジメントの柱は、大きく2つある。ゆらぎ始めた「女性ホルモン」のコントロール、そしてその影響を受ける「骨の強さ」のマネジメントだ。具体的には閉経を基準に更年期前後の時期を3つのライフステージに分類し、さらに更年期は症状の重い、軽いによって、それぞれのタイプに必要な対策を紹介している。

積極的な骨強度マネジメントを

 なかでもすべてのタイプにおいて吉形医師がその必要性を強調するのは、女性ホルモンの急激な減少に比例しながら低下する、骨密度のコントロールだ。

「骨は常に新陳代謝を繰り返していて、骨を壊す破骨(はこつ)細胞を女性ホルモンが抑制し、新しい骨を作る骨芽(こつが)細胞を増やすことで骨の形成を促す。女性ホルモンの減少でこのバランスが崩れると、骨が壊されるスピードの加速に骨芽細胞の働きが追いつかずに、50~60代は人生で最も骨密度が減る時期になる」と吉形医師は説明する。

年齢と閉経にともなう骨密度の変化(概念図)
年齢と閉経にともなう骨密度の変化(概念図)
骨密度が最も低下する期間は、女性ホルモンが急減する閉経後15年間。70~80代は低値安定となるが、事前の対策がなければ、ほぼ全員が骨粗しょう症になる。骨密度が下がり始める40代半ばのプレ更年期以降から「骨強度マネジメント」をすることが重要だ。(吉形医師による図)

 しかも、それが最初に目に見えて表れるのは「顔」。頬やあごの骨などの骨密度が下がって皮膚がたるんだり、深いくぼみやシワができたりしてどんどん老け顔になるというから、骨折のリスク同様に見逃せない点だ。

「どのタイプでもまず基本となるのは、食生活と運動習慣の改善。がんばりすぎる必要はないので、例えば1週間で振り返って調整できればいい。閉経マネジメントはする・しないでその後の人生に大きな差が出るので、ぜひ意識して」(吉形医師)