ひとくちに更年期対策といっても、ライフステージや症状によって「いつ」「何を」するかは変わってきます。更年期とその前後をラクに過ごせる、日常生活でできる対策をご紹介します。今回は、運動とホルモン補充療法、受けておきたい検査について解説します。
閉経マネジメント
・産婦人科医が提唱 4つのタイプ別「閉経マネジメント」【1】
・そろそろ閉経?という人が知っておくべき検査と運動【2】←今回はココ
適度な運動習慣で閉経マネジメントを!
産婦人科医で、浜松町ハマサイトクリニックの吉形玲美医師が提唱する「閉経マネジメント」。前編では、自分がどのような対策をすべきかがわかるチャートを紹介し、更年期に見直したい食事について紹介した。後編ではその他の対策について紹介する。
どの世代やタイプにも共通して必要な「閉経マネジメント」のひとつが、適度な運動習慣だ。骨を強くする運動のほか、年々減少する筋肉を維持するトレーニングも大切。特に下肢の筋肉強化は肥満や将来の寝たきり、認知症の予防にも効果的だ。生殖器まわりのトラブルも、運動での予防・改善が可能に。
「折れない骨づくりのためにまず行いたいのが、骨へ一定の加重をかける運動。オステオカルシンというホルモンが分泌されて骨をつくる細胞が働くほか、筋肉を強くする効果も期待できる。体重が軽い人は物理的に加重がかかりにくいので、特に意識したいもの」と吉形医師。
ただし肥満傾向にある人は、別の意味で注意が必要だという。
「骨の強度には骨密度だけでなく、骨のしなやかさを保つ骨質も重要。糖尿病や脂質異常症などは後者を悪化させ、骨折のリスクはぐんと高まる。研究段階だが、糖尿病を診断するヘモグロビンA1cが高い人は骨質が悪いという報告もある」と吉形医師。
これらを改善する運動としてまず薦められるのが、普段のウォーキングを“かかとで体重をしっかり受け止める”歩き方に変えることだ。
「ダラダラ歩きでなく“息は弾むが会話はできる”程度のスピードで、一定以上の時間をかけることが重要。有酸素運動は、骨質を劣化させる内臓脂肪の燃焼にもつながる。荷重をかけるならテニスや卓球、ダンス、筋力も強化できるハイキングなどもいい。ただしこれまで運動習慣のない人は関節を痛めないよう、スクワットなどで筋力をつけながら少しずつ時間を増やして」(吉形医師)